在りし日の歌

なにゆゑに こゝろかくは羞ぢらふ
秋 風白き日の山かげなりき
椎の枯葉の落窪に
幹々は いやにおとなび彳ちゐたり

枝々の 拱みあはすあたりかなしげの
空は死児等の亡霊にみち まばたきぬ
をりしもかなた野のうへは
あすとらかんのあはひ縫ふ 古代の象の夢なりき

椎の枯葉の落窪に
幹々は いやにおとなび彳ちゐたり
その日 その幹の隙 睦みし瞳
姉らしき色 きみはありにし

その日 その幹の隙 睦みし瞳
姉らしき色 きみはありにし
あゝ! 過ぎし日の 仄燃えあざやぐをりをりは
わが心 なにゆゑに なにゆゑにかくは羞ぢらふ……
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むなしさ




臘祭の夜の 巷に堕ちて
 心臓はも 条網に絡み
脂ぎる 胸乳も露は
 よすがなき われは戯女

せつなきに 泣きも得せずて
 この日頃 闇を孕めり
遐き空 線条に鳴る
 海峡岸 冬の暁風

白薔薇の 造化の花瓣
 凍てつきて 心もあらず
明けき日の 乙女の集ひ
 それらみな ふるのわが友

偏菱形=聚接面そも
 胡弓の音 つづきてきこゆ

ciel