今日は期末試験。赤点をとった人は夏合宿に行けないという。今日やる筆記試験と演習試験があるとのことで、そっちはB組の子からの情報によると機械との戦闘訓練。機械相手、はあんまり得意じゃないけど、皆と合宿には行きたいなぁ。花火とか肝試しとかとするのかなと期待に胸を膨らませながら廊下を歩いていると、偶然出会った相澤先生に呼び止められる。

「名前」
「はい」
「やる前からなんだが、お前は補習確定」
「えっ」

それからのことは、ショックすぎて覚えていない。


「ブッフ…ごめんめっちゃ面白い」
「うるさいよ上鳴くん。そんな笑ってると上鳴くんだって補習なるんだからね。」
「いやいや機械ブッパなら俺つぇーし」
「筆記もうすぐなんだから教科書みてなよアホ面」
「うわ辛辣……もうやっても遅いから、かわいそーな子励ましにきてんの」
「それはそれはありがとう!あーもう、やる気しないよね!行けないってわかってるなら今からテストサボってやろうかな」
「何を言っている名前くん!誇り高い雄英生があろうことかテストをサボるなど!」
「飯田くんうるさい」
「うるさっ?!君そんなキャラだったか?!」
「あはは、名前ちゃんやさぐれとるね」
「みんなと合宿行けないなんて、私の夏は終わりました」
「思いの外ショック受けてんな……」

ふんだ。なにさなにさ。相澤先生なんか嫌いだ。皆ともっと仲良くなれるチャンスだったのに。へーんだ。知らない。
むすっと膨れていると入り口から噂をすれば相澤先生。私の怒りは収まらず、目を合わせるのも嫌で窓の方を見る。分かりやすくて子供みたいな反抗だけど、それくらい悲しいし寂しいしむかつくのだ

「それじゃー筆記試験始めるぞ。おい名前、せめて鉛筆出せ」
「うー……」

私の低い唸り声にまたもや上鳴くんが吹き出す。上鳴くんも補習なればいいんだ。苛つきを隠さず鉛筆を取り出す。溜息を吐いた先生が配るぞとテスト用紙をひとりひとりの机の上に置いていく。しばらくしてから、始め、という合図でみんなが一斉にプリントを表面に引っくり返した。私もやや遅れながらテストに目を通す。この間百に教えてもらったところがいくつか出ていた。これなら大丈夫だ。まぁ合宿には行けないんだけどね!


それから、演習試験で赤点を出した上鳴くんを私がお腹を抱えて笑ったのは、もう少し経ってからの事だった。ざまぁみろ。






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