相澤の髪を結う
リビングのソファでくつろぎながら、黙々と指を動かす恋人の後姿をぼーっと眺める。「…ねえ、髪結ってあげようか?」
ふと気になった、無造作に垂れ下がったままの黒髪。それでは画面も見づらいだろうと声をかければ、あっさり手を止めて相澤が振り返った。
「頼む」「はいはい」
彼にしてはやけに素直に背を向けて隣に腰かける。きっと部屋に入ってきた時の私の右腕に気がついていたんだろう。
「あのさ、ほんとは私に結ってほしかったんでしょ」
「……さあな」
「素直じゃないの」
言ってくれればそれくらいいつでもやってあげるのに。笑うな、と言いたげな視線を無視して、私は上機嫌でその黒髪を梳いた。
2018/09/16 MHA