かわいらしい人
ズボンより甘い、胡麻の香り、物知り
玄関のとびらを開けると、白熱灯に照らされた彼女が立っていた。
白い清楚なブラウスに、淡い桃色のスカートをはいた彼女は、少し目をふせて「おかえり。ご飯できてるよ」といった。
その言葉通り、小さく開いた食卓のとびらからは、ほんのりと胡麻の香りが漂っている。その香りに誘われて腹がぐうと鳴る。思わず手を腹に当てると、くすくすと笑い声が聞こえた。
僕はとても物知りだから、知っているのだ。彼女は少々がさつなところがあることも、普段はズボンをはいていることも、あまり料理が得意ではないことも。
僕が家庭的でかわいらしい人が好きだからと聞いてズボンよりも甘いスカートを身にまとい、僕が好きだといった胡麻をうまい具合に取り入れた料理を振る舞っているのだ。
そんなことしなくても、君はかわいらしいのに。彼女が頑張っているから、そのかいさは何倍にも膨れ上がって僕に襲いかかった。
「お風呂の前にご飯にしよっか。
先に準備してるね」
返事を聞くなりまた少し笑って、彼女はキッチンの方へ向かっていった。くるりと体ごと振りかえり、両手でとびらを閉める姿に、僕はきゅんと胸が高鳴った。
ああ、幸せだな。
twitterでお題を募集したものです。
お題「ズボンより甘い、胡麻の香り、物知り」
お題「ズボンより甘い、胡麻の香り、物知り」