あけましておめでとうございます


パンッパンと手を打ち、武者小路は声高々に願いを上げる。満足した顔で去ろうとした彼は、ふと隣を見た。
「あれ、志賀はいいのかい?」
「神様が神様にお願いなんておかしな話だろ?」
そうカラカラと笑う志賀はどこか疲れているように見えた。踵を返して境内を後にしようとする彼を呼び止め、武者小路はそっとその背中を引っ張った。
「今日ぐらい神様じゃなくても、志賀でいてもいいと思うよ」
 首に巻いたマフラーを志賀の肩に巻き直す。自分を気遣ってくれる親友を見て、彼は安心したようにふっと微笑んだ。
「じゃあ今年こそ武者が自転車に乗れますようにってお願いしておくか!」
「むむ、志賀が前方に注意しますようにってお願いしちゃうよ!」
澄み渡った空に、二人分の願いがからんからんと鳴り響いた。


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スワンプマンの箱庭