君のかみさま


光さんが彫刻を彫っているのを、僕はじいと見つめていた。清らかで、女神のような微笑をたたえている女の人の像。
僕にはどこまでも淫乱で下品な像にしか見えなかったけど、ひたすらにひたすらに彫り続けている光さんは、いつも楽しそうだった。
「ねえ、そろそろ休憩にしない?」
「うん……そうだね。そうしようか」
「食堂においしいおやつがあるんだよ!早く行こうよ!」
彫っていた像から離れ、木槌を置いたその手をぐっと部屋の外へ引っ張り出した。かみさまに菩薩様が嫉妬するのはおかしいだろうか。
部屋の隅で妬ましそうに笑うその像に、あっかんべーと舌を出してやった。


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スワンプマンの箱庭