出会ったら吉日

 眩しいライトが浴びるそこへ戻りたい。いつもそう思ってるけど実現してくれたのは彼なの。





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 昔から歌うことは好きで、地域のカラオケ大会で今所属しているレコード会社にスカウトされたのは中学3年生の時だった。まだ学生だったその時は顔出しをしないでデビューをさせてもらった。今までは既存の曲だったのに、自分のために用意された曲を歌える幸福感はクセになった。中毒化されるような、自分の一部になるかのような感覚だった。
 それが突然歌えなくなったのだ。19歳の誕生日を境に。歌いたいという意思を尊重してもらいかれこれ半年ほど活動を休止していた。普通に話はできるのになと思いながらいろんなリラクゼーションをしてみたりするもどれも自分には合わなかった。
 そんな時、近所の公園で彼と出会ったのは。夜中の公園でぶつぶつ何かを言いながら奇行を起こしていたのだ。不気味だったが直感で悪い人ではないと感じてしまい気付けば声を掛けていたのだ。


「何をしているの?」

「待って!今話しかけないで。」


 そう言って彼は五線譜に音符や記号を書き足していっていた。暗くてよく顔は見えないが彼はきっとKnightsの月永レオだ。この音符たちの奏でる音楽は月永レオの楽曲だった。どこかの雑誌でよく行方不明になるやら作曲のためならみたいな記事を読んだことがある、気がする。その割には散らばったままだし、風に飛ばされたままだ。声を掛けた手前、勝手にいなくなるわけにはいかないし楽譜を拾い集めた。
 月永レオが産み出す曲は大好きだ。特徴とかはそこそこ把握しているから気付けた。きっと何百人の楽譜の中に一つだけ彼のだと言われても見つけ出す自信はある。




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「おまえ歌えるのか?」

「えっ?」

「その楽譜おれのだろ?」

「い、ま、歌ってた?」

「おまえおかしなこと言うんだな!宇宙人か?」


 宇宙人ではないと否定することより半年ぶりに歌えたことが嬉しかった。もっと歌いたい。


「ねぇ月永レオ。私の曲を作って。」

「なんだ急に。待って!妄想するから!」

「いいや言う!私は今歌えないの。でも君の歌なら歌えるかもしれない!」

「あぁなんで答えを言うんだ!」

「ごめん。でも今私はあなたに曲を作ってもらいたいの!」


 月永レオはよくわからないがわっかた!霊感が湧いてくると言ってまた五線譜に音符を書き足した。何を言っているんだ自分!と気付くのはまだまだ先。