スープがメインになります
父と二人暮らしのマンションの一室に私だけの声が響いた。今日は定時の17時に仕事終わって帰って来るって言っていたからもうご飯を作り始めないといけないなとさっと計画を頭の中で立てた。
自室のクローゼットに制服を片付け、タンスから長袖のTシャツとゆったりとしたズボンを出し着替えた。昔は今の何倍も服を持っていたが今はそんな物必要はないから着るものはほとんどお馴染みばかりだ。部屋を出てキッチンで献立を考える。初めは形も味も悪いものばかりしかできなかったがそれなりには上達はした。難しい料理は全くできないけど。今日は少し寒かったし暖かいものが食べたいな。
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「瑞希ただいま。」
「おかえりなさい。今日は春キャベツと豚肉の中華風スープがメインです。」
「ははは、スープがメインか。」
一緒にキッチンに立ちよそうのはついさっき出来上がったばかりの夕食。太ることが怖くて未だにヘルシーなものしか食べれないし作らない私に対して父は何も言わない。お茶碗いっぱいにご飯を盛る父はきっとこんな料理だけでは足りないんだろう。何かガッツリしたものを作って出してあげたいのに、作ろうとすると吐き気が止まらないのだ。
「ごめんね、お父さん。」
「……無理はするな。気長に待ってるからゆっくりでいいんだ。ご飯だけを炊けるようになったのはすごい進歩だかな。」
そう言って笑い頭をくしゃりと撫できた。たぶん父は根に持つタイプだ。最初の頃は糸こんにゃくを刻み、白米と一緒に炊いて出していたのだ。それはそれはたくさんと入れて。
「お父さん、今度の土曜日学校の友達と遊ぶことになった。」
「そうか。遅くなるならご飯作ってから行けよ。」
「はーい。」