Monday

 田舎町の海辺に彼女のお店はあった。

 そのお店を知るきっかけになったのは連載を持っている雑誌撮影で着用したブレスレットとネックレス。シーグラスのシンプルなデザインだけどキラキラとしていて綺麗な物だった。
 衣装さんに購入の交渉をしてみたものの、手に入れるのに結構苦労したみたいで譲り受けることは残念ながらできなかった。けれども、サイトを教えてくれて検索をかけると販売ページも出てきた。どれもSOLD OUT、完売の文字が連なっていた。サイトを見続けていくと住所が記載されていて"工房販売あり"の文字があった。





 都内からかなり遠い場所だったため一週間休暇も兼ねてお休みを貰えたのは、あれから半年は過ぎてしまっていた。
 観光地ではないここは静かな時間が穏やかに流れている、なんて言葉がぴったりな場所。透き通った海に緑が生い茂る山々にすっかり癒されていた。

「本来の目的を忘れるところだったわ。……この辺りのはずよね?」

 サイトに載っていた住所はどうやら小さなカフェのようで、アタシの頭の中は少し混乱していた。
 スマホの地図に目的地を入力し、示す方向へ歩き続けていたらもうすぐそこなのにどこにあるか全く分からない、謂わば迷子ってところかしら。
 カフェらしい建物も周りを見渡す限りないし、どちらかと言うと住宅にしか見えない。

「あの〜、どこかお探しですか?」

 そう声をかけてきたのは白いコートとマフラーに黒のスキニーパンツ、赤のスエード調ブーツ姿に綺麗な長い茶髪の女性。肌はとても白く、薄いお化粧が彼女にとても似合っている。

「カフェを探しているの。本当はシーグラス工房を探しているの。あなた何か知ってるかしら?」

「……シーグラスアクセサリーの工房はこの辺りこの辺りは1軒だけなのでご案内しますよ。」

「本当!お願いするわ。」

 では行きましょうと言って彼女はアタシの一歩前を歩き始めた。モデルのアタシでも惚れ惚れする歩き方。背筋がピンと伸びて胸も張って。彼女は昔モデルでもしていたのかしら。

「着きましたよ。えっと、お名前は?」

「あらアタシとしたことが自己紹介がまだだったわね。鳴上嵐よ。よろしくね。」

「鳴上さん。私は青木なぎさです。一応、あなたが探している工房の者です。」