安眠薬、1人

 
家に戻ると、子どもの名前の泣き声がした。夜泣きは珍しいな、と思ったけれどもまだ1歳にもならないからそんなこともあるか、と納得して子どもの名前がいる部屋へと向かう。
ベビーベッドの上で愚図る子どもの名前の様子を見れば、愚図ってはいるものの暫くすればまたすぐに眠りそうな状態なことに安心して小さく息を吐く。
ベビーベッドの隣にあるベッドにいる名前を見れば、彼女は起きる気配が無く眠っている。

(疲れて、いるんだろうな……)

子どもの名前を極力ベビーベッドに寝かせたりと名前の身体にも負担にはならないように試行錯誤して子育てをしていることは知っている。名前の寝床を子どもの名前の部屋へと移そうと最初に言い出したのも、名前だった。恐らくは、どうしても生活が不規則になりがちな俺の為になのだろう。
名前の頭を撫でれば、彼女がわずかに頬を緩める。子どもを産んでから少し痩せただろうか。そう思いながら撫でていると名前がぼんやりと目を冷ます。

「んー……」

まだ頭はハッキリとしていないらしく、ボーッとしたように俺を見上げる。そんな彼女の頭を撫でれば、彼女の目は覚めたのか勢いよく身体を起こした。

「もしかして、子どもの名前泣いてた……!?」
「いや、俺が顔を見たくて入ってきただけだ。すまない、起こしただろう」

子どもの名前が泣いていたということを伏せて言えば、彼女は安心したように息を吐く。何も、全てを1人で気負うことはないというのに、
念のため、というように名前が子どもの名前を見るも、既に泣き止んでいた子どもの名前は夢の中だった。

「ごめんね、ホントは私が秀一さんのこと起きて待ってられたらいいんだけど…」
「いや……。俺の方こそ、任せっきりなんだ。寝られるときに寝ていい」

名前は小さく返事をして、横になる。頬に触れれば、名前はその手を取って握る。

「寝るまで、握っててもいい?」

珍しく甘えてくる名前に、思わず笑みを浮かべる。目の前にいるのだから、手ではなくてもいいだろうに。
名前が横になる隣に自身も横になれば、名前は驚いたように首を横に振る。

「ここだと、子どもの名前が泣いちゃうことがあるから…」
「俺は、名前がいた方が寝れる」

起き上がった名前を引き寄せて、腕の中に閉じ込める。抵抗しようと名前が腕の中で身動ぐが、腕の力を強めると諦めたらしく受け入れるように背に腕を回す。

「起こされて眠くても、知らないよ?」
「1人で寝るよりはいい」

名前と会って、以前より1人で寝るということが減った。自分が仕事で忙しい時や沖矢になっていたとき、俺がアメリカに戻った後。1人で寝ていたことはあったが、名前がこっちに来てからは格段に減った。

「明日からは、俺もこっちで寝る」
「夜中に突然子どもの名前が突然泣いたりするよ…?」
「名前だけが面倒を見なきゃいけないわけじゃないだろう」
「そりゃ、そうだけど……」

ぎゅ、と言いたいことを我慢するように名前が俺に抱き着く。どうせ、負担になるとかそういうことなのだろう。

「この話は、明日起きてからだな」

まずは隈を治せ。そう言って、まだ少し不満げな名前を抱き締めた。

2015.10.14