熱に溺れていった
家に戻ると、ソファーから流れ落ちる銀髪が見えた。どこかの美容院の滅茶苦茶高いシャンプーとリンスでも使ってしっかりケアでもしてるのだろうか、というぐらいに絡まることを知らずにサラサラと触れたら手からすり抜ける銀髪を憎たらしく思いながら触れる。
(随分とまぁ、深く眠っていらっしゃる……)
視線だけで人でも殺せそうな…いや、実際にこの男は拳銃で殺すこともあるけれど。そんな彼の瞳は閉じられていて、その姿は随分と端正に見える。本当に、目つきだけでもどうにかすればいいのに、と思うけれどこの目つきも好きだから結局は何も言わないのだけれど。
「運ぶ……のは無理よねぇ」
ライフルとか持ち歩くこともあるから一般の女の子よりかは体力筋力共に自信はあるけれど、わりとしっかりした身体つきの成人男性を運べるか、と問われたら答えはノーだ。それならば、寝室から布団を持って来た方が断然早い。
くしゃり、と眠る彼の頭を軽く撫でて、寝室に布団を取りに行く。そういえば彼は夕飯は食べたのだろうか。時間を見ると時刻はまだ9時過ぎで、すごく中途半端な時間だ。
「よい、しょっ…と、」
彼が眠るソファーに布団をかけて、一息つく。とりあえず私はご飯を食べていないから早いとこ食べてしまいたい。寝る直前に食べると太る。
彼の目がしっかりと閉じられていることを確認して、立ち上がる。その場で軽く背伸びをしていると、突然腕を引っ張られて私の体制が崩された。
「ったた…ちょっと、起きてたの?」
「今起きただけだ、」
自身の身体の上に私を乗せて、ジンが私を下から見る。なんだか、私から彼を襲っているような感じに見えるのは気のせいだろうか。そう思っていると、ジンは寝ぼけているのかそうじゃないのか、夜這いか、なんてバカみたいな質問をしてきた。
「ジンが寝てたから、布団かけただけよ」
「フン…このまま襲われても、文句は言わねぇな」
「っ、ちょ……んん、」
ぐい、と無理矢理身体を引き寄せられて、口を塞がれる。そのまま私の身体に触れるジンの身体を押しのけようとするも、ソレ以上に強い力で抱き寄せられる。
「はっ…私、ご飯食べたいんだけど…」
「飯の前に動いたら腹も減らねぇだろ」
「きゃっ……!」
ジンは私と自身の体制を反転させて、私の視界はジンと天井だけになる。流れ落ちる銀髪が、やけに憎たらしく思えるのは私だけではないだろう。
「動いたらって…ここで?」
「嫌か?」
「嫌って言っても、するくせに…」
強引なこの男のことだ。どうせ私がここで何を言おうとも暴れようとも押さえつけて犯すようにされるのはわかりきっている。小さく息を吐いて彼に腕を伸ばせば彼は私の口に舌をねじ込んで、そのまま私は熱に溺れていった。
2016.03.13