定番の話題

 
「さすが子ども。寝るの早いわ…」
「小学一年生なんてこんなもんだろ」
「そうね。キャンプとかでも毎回こんな感じよ」

布団で寝る子どもたちを見て、高校生組三人で話す。ただ、実際に高校生をしているのは私だけなのだけれど。時間はまだ10時になる前だ。小学生の寝る時間というのはこのぐらいだっただろうか、と昔を思い出すけれど私が実際に小学生だったのなんて20年近く前のことだ。覚えてなんかいない。

「ま、多分コイツら朝は早いし俺も寝るか」
「え、そんなに早いの?」
「早起きの習慣があるみたいよ」
「しっかりしつけられてますねー…」

大人になると早く寝た方がいいとは思いつつも誘惑に負けて夜遅くまで起きていることも多い。けれど私も本当ならば一応身体は高校生なわけだし早く寝るほうがいいのだろう。

「……工藤君、寝るの早くない?」
「身体は子どもってことでしょ。名前はどうするの?」
「いい年した大人が10時前に寝れるかって話ですよお姉さん」

ちょっとの間に寝息を立て始めた工藤君を見て苦笑いをする。私の家にお泊りに来た子どもたちは私を含めて床に布団を敷いて川の字で寝ているけれど、哀ちゃんと私の間には子ども三人と工藤君。話し込むには少し距離がある。名前お姉さんも一緒に寝よう、という歩美ちゃんの声で私も床に寝ることになったけれど、言い出した本人はもう夢のなかだ。

「ベッドで寝ようか」
「…そうね」

哀ちゃんもあまり眠くはないらしく、二人で雑魚寝する布団を抜けだしてベッドに入る。シングルベッドだけれど、そこまで狭くはない。

「貴方、恋人とはどうなの?」
「え、何その恋話。哀ちゃんもそういう話に興味あるの?」
「別に。ただ話のネタになるかと思っただけよ」

ただそれだけで人の恋人の話を持ちだしたのか、と思いつつ苦笑いをした。哀ちゃんは一応私が赤井秀一の恋人であることは知っているけれど、秀一さんが諸星大であることは知らない。その辺り気をつけて話さないといつかボロが出てきそうだ。

「でも貴方、諸星大が好きだったんじゃないの?」
「あー…成り行き?あ、でもちゃんと好きだよ?」
「そうでしょうね。たまに泊まるんだったわよね?」
「うん。一緒に寝てる」
「はぁ!?」

哀ちゃんの大きな声に、二人共慌てて口を手で隠す。恐る恐る子どもたちを見たけれど、起きる気配はなくて二人で息を吐く。そして、哀ちゃんは小声で一緒に寝てるってここで?と私に尋ねた。

「ここで以外にどこで寝るの…」
「貴方も女なんだから危機感持ちなさいよ」
「えー…」

まさかもう食べられてます、なんて言えるわけもなくて。そうだった、一応私身体は高校生だった、と思って哀ちゃんに考えとく、とだけ告げる。中身が成人式とか何年前だっけ、という感じだからか時々身体の年齢を忘れそうになるのはあまりよろしくない。

「でも、気になるわね。貴方の恋人」
「哀ちゃんが元に戻ったら会ってみる?」
「そうね…。貴方を捕まえたんだから、見ておきたいわ」

誰にも捕まりそうにないのにね、なんていいながら哀ちゃんが笑う。どちらかというと私が捕まえたような気もするけれど、この際気にしないでおく。むしろ私としては哀ちゃんを捕まえる人がどんな人なのかが気になる。できれば比護さんとかに捕まえてもらいたい気もするけれど無理な話だろうか。

「そろそろ本当に寝たほうがいいかもしれないわね」
「朝早いって言ってたもんねー。このままここでいい?」
「えぇ。寝れれば構わないわ」

同じベッドにいる哀ちゃんと目が合って、お互いに口角を上げる。おやすみなさい。お互いにそう言い合って瞼を閉じた。

2016.04.26