くっつきぼ

 
2人とも部署こそは違えど職は同じで、忙しさから職場以外で会えないことの方が多かった。それに2人とも1人暮らしで、会えないのが3割、家事の手間が省けることが7割ぐらいの気持ちだったのかな。一緒に住もうか、という話になったのは。

「帰らなくていいって素敵ですねー…」
「今日からはここが家ですからね」

荷物も片づけ終わって、一息つきながら布団に転がる。自分のあるでしょう、とキャメルさんに言われるけれど、圧縮してる布団を今から出すのは少しだけ面倒だからこのまま寝てしまいたい。

「眠いんですか?」
「それなりに…。あ、キャメルさんはこっちです」

布団の中に入って、広めに隣を開けて布団を叩く。少し驚いたように声を上げるけれど、私がキャメルさんをじっと見たままひたすら布団をバンバン叩いていると諦めたらしく大人しく隣に転がった。

「なんかお泊りみたいです」
「そういえば、泊まったことはありませんでしたね」
「無いですよー。でも、こうしてると何だかいけないことでもしてる気分になっちゃいます」

仮眠室でこっそり寝ちゃってるとか。したことはないけれど、そんな気分になる。普段から2人で会うよりもずっと職場で顔を会わせることの方が多くて、こうやって2人で過ごすことはホントに少なかったから少しだけ変な感じ。

「そっち、狭くないですか?」
「大丈夫ですよ。私、小さいから」
「そ、そうですけど…」

大柄なキャメルさんと違って私は小さい。それこそ隣にいたら大人と子どもぐらいの身長差だ。まぁでも周りにそう言われるのにも慣れてるし、むしろ家の中でのみだけれどキャメルさんに抱っこしてもらって楽しんだりしているのは職場の人には内緒な話。

「あ、もしかしてキャメルさん狭いですか?」

こっちまだ寄れるから来てください、と言えば、開いた隙間を恐る恐るキャメルさんが埋めるように近付く。うーん、そんなに襲ってくるように見えてるのかな、私は。
大柄な見た目に似合わずちょっとヘタレなところが可愛いな、と思っているのは本人には言わないけれども。

「そ、の…寝てる間に潰したりしたら、怖いんですけど…」
「そんな簡単に潰れないですよー」
「まぁ…そう、なんでしょうけど…。もう少し大きいの、買います?」

あんまりぎゅうぎゅうに寝るのもきつくないですか?と私を気にするキャメルさんに、問答無用で私から抱きつく。突然のことにワタワタとどうしていいのか分からずに顔を赤くして慌てるキャメルさんを見上げる。うん、可愛い。

「キャメルさんは、嫌、ですか?私とこうやって寝るの…」
「嫌じゃないです!ただ、その…名前さんのことを、潰しそうっていうか…きつかったら、嫌だな、とか…」
「私が、キャメルさんとこうして寝たいんです。くっついて寝てたいんです。それに、キャメルさんに潰されるなら構いませんよ?」
「…分かり、ました」

私の背中に腕を回して、おずおずと私のことを抱き寄せる。そんなにゆっくりと触れなくても壊れたりなんかしないのに、本当に女の子の扱いに慣れてないんだと思えて頬を緩める。
未だに私に触れることに慣れない彼を見れば、案の定顔を赤くしていて。相変わらず可愛いなぁ、と一人で思いながら、彼に強く抱きついた。

2016.02.29