Can you help me!

 
「意味が分からない」

私は目の前で向かい合って椅子に座っている工藤君と服部君に向かって言う。工藤君、と言っても姿はコナン君だけど雰囲気的に工藤君でいいだろう。どうせこの3人は正体を知っているのだから。
いきなり工藤君に呼ばれて来てみたら何故かいた服部君。大阪からわざわざご苦労様、と言ったところだろうか。問題はソコじゃない。用件の方だ。

「そもそも私探偵でも何でもないんですけど」

2人が座っているところが4人席だったのでとりあえず手前に座っていたコナン君の隣に座る。頬杖をついて不満そうに彼らを見ればついでだからと言わんばかりに服部君にメニューを渡されたのでとりあえず開いてデザート系を見てみる。

「でもよ、オメー探偵じゃないって言ってる割には事件とか居合わせるよな」
「別に探偵じゃないから居合わせるわけでもないでしょ」

私は死神みたいに事件を呼べないの。そう言えば彼らは心当たりがあるのか苦笑いをしている。うん、確かに2人みたいに外に出るたび事件とかはエンカウント率が凄過ぎるだろう。
どうやらコナン君はともかくハロウィンパーティのときに初めましてだった服部君は私が関わった事件とかを知りたかったらしい。そして探偵だと思っていたのだとか。となると関わった、というよりは解決した、というのが正しいのだろう。

「せやかて1つや2つはあるやろ?」
「3億円事件のときは犯人達の1人と少し話しただけだしバスジャックでは大人しくしていたし東都タワーの爆弾解体は工藤君が全部やってくれたしこの前のハロウィンパーティだって私服部君の近くにいただけで何もしてないよ」
「あれだけいろいろ言うとってよう言うわ」
「別に気になったから言っただけだよ」

近くにいた店員さんを呼んでメニューの中で目についた小ぶりのパフェを注文する。店員さんが去った後服部君へメニューを手渡せば、彼はそれを元のところへと戻した。

「それ聞くためだけに大阪から来たの?」

わざわざ?暇なの?と私的には素朴な疑問を服部君に投げかけるとアホか、と返される。工藤君に至っては終始苦笑いだ。

「前回は一緒に行動しっとったんに話せんかったんや。今日ばっかりは付き合うてもらうで」

ニヤリと笑った服部君に、私の頬が引きつった。

 + + +

「嫌だ絶対嫌だ行きたくない無理無理無理!」
「やいやい言うなや!しゃあないやろ呼び出されたんやから!」
「私探偵じゃない一般人だもん死神ホイホイじゃないんだもん!」

嫌がる私を半ば引きずるようにして連れて行こうとする服部君。工藤君の携帯に目暮警部から連絡があって、服部君が奪うように代わって工藤君はいけないけど自分が行くからと言って今から向かおうとしている。事件現場に、だ。

「あんまり無理矢理連れてくなよ服部…」
「捕まえとかんと逃げるやろ」
「それは否定しねぇけどよ…」

誰も彼もが好き好んで死体見たいわけじゃねぇだろ。工藤君は呆れたように言った。ええやんか俺はそんなに会えんのやし、とツンデレかみたいな発言が聞こえたけどこの際無視だ。死体は見たくない。
一応私の味方をしようとしてくれている工藤君と言い合いをする服部君はそれでも私の腕を掴む手を緩めることは無い。畜生、遠山さんに言いつけるぞ。あんまり会ったことないけど。
ふいに、私の携帯が鳴り響く。その音に服部君が私の腕を掴む力が一瞬緩んで、その隙にパッと離れて携帯を通話に切り替える。電話の相手は秀一さんだった。ここまで来ると基本的にこの携帯に電話をかけるのは一人しかいないと言ってもいいぐらいだ。

「何かありました?」
『いや、ちょっと訊きたいことがあってな』
「分かりましたそっちに行きます」
『別に電話で…』
「いや行きます大丈夫です滅茶苦茶暇してたんで」

携帯の向こうで秀一さんが私の名前を呼んでいたような気がしたけれど、問答無用と言わんばかりに携帯を切る。そして、ニッコリと貼り付けたように笑顔を浮かべて服部君を見た。

「呼び出されたから、行ってくるね?」

有無を言わさないように彼に告げれば、終わったら連絡をと言っていたけれど見ざる聞かざる言わざるだ。工藤君は恐らく通話の相手が分かったらしく、相変わらず苦笑い。というか今日の工藤君は苦笑いしかしていない気がする。
逃げるかのように、私は服部君と工藤君が向かう方向とは逆に走り始めた。