例えばこんな始まり方。

*メタ発言多め


「何をそんなに熱心に見てるんです?」
「別に仕事じゃないさ。ただの動画だ」

とある部屋の一室。俺がパソコンを使っていると、同じ部屋にいた安室が俺のパソコンを後ろから覗いてきた。別に表示されているのはただの動画で、別に見られて困るようなものではない。

「コレ、アレですよね。動画投稿サイト」
「あぁ。面白いのを見つけてな」
「面白いもの?って…あぁ、最終回風MAD。コレ凄いですよね」

画面に流れているものを見て、安室が言った。流れているソレを見ていると、安室が小さく声を漏らす。

「さっきから流れている液晶邪魔って…何なんですか?」
「あぁ…多分、コレじゃないか?」

どうやら彼は、動画に流れているコメントに疑問を持ったらしい。俺が扉をノックするように近くを適当に手を動かせば、何も無いはずのそこがコンコン、とノックしたかのような音がする。同時に、安室が俺から一歩後ずさる。

「え、何なんですかソレ…」
「気づいてなかったのか?至るところにあるぞ」

動画を止めて、安室を見る。どうやら彼は全く気づいていなかったらしく、空をノックすれば確かに中指に何かが当たるような感触がしたらしく肩をビクリと跳ねさせた。

「見えないし、確かにあるみたいですけど生活には支障が無いんですね…」
「らしい、な。にしても…この液晶とやらが割れたら何かあるのか…?」
「試してみる価値はありそうですね」

適当に何丁か銃でも用意するか。そう言って、とりあえず俺らは武器を用意してみることにした。

 + + +

「液晶、ですし…ひんやりとはしてますね」
「向こうに人がいるような気もするが…よく分からんな」
「手でも振ってみます?」
「好きにしろ」

適当に安室にそうい言えば、彼はとりあえず液晶に向かって手を振り始めた。本当に向こうに人がいるとも分からないのに、何をしているのだろうかこの男は。
とりあえず俺は、安室が立っている傍の液晶に向けて銃を向けた。

「避けろよ」

そう呟くのとほぼ同時に、引き金を引く。どうやら彼は間一髪で避けたらしく信じられないものを見るような目でこちらを見ている。液晶は、無傷だ。

「何で人がいるところで撃ってるんですか」
「お前が液晶の近くにいるからだ。にしても、銃で撃っても無傷か…」
「何発か試してみます?」
「そうだな。ヒビぐらいなら入るかもしれん」

2人で銃を構えて、引き金を引く。しかし、液晶はヒビどころかかすり傷ひとつ入らずに薬莢だけが音を立てて床へと落ちる。どうやら、銃は効果がないらしい。安室もそう思ったらしく、引き金を引くのを止めて息を吐いた。


「どうやら、銃だと駄目みたいだな…」
「みたいですね。どうします?素手でしてみます?」
「そうだな…」

液晶の位置を確認して、2人で一斉に殴りかかる。が、やはり液晶は液晶のままで。もしかして、このままではこの液晶は壊せないのではないのだろうか。
そう思いながら、顔を見合わせたとき。

「ふたりとも、何してるの?」

突然聞こえた幼い声。その声に、俺と安室が液晶を見て顔を見合わせ、そのボウヤを見た。もしかしたら、このボウヤの持つ武器ならなんとかなるのではないだろうか。
そう思い、俺と安室が液晶のことを説明した。

「へぇ…。あ、ホントだ。何かある」

コンコン、とノックをするように、少年が液晶の位置を確かめる。ちょっと下がったほうがいいかも、というボウヤの言葉に、出来るだけ液晶から離れる。すると、ボウヤはベルトからボールを出して靴のダイヤルを回す。そして。

「お、開いた」

激しくガラスが割れるような音とともに、ボールの大きさの分だけ液晶が見事に割れている。なるほど、これならば。

「ここから穴を広げるのは難しくないかもしれませんね」
「そうだな…。キャメルでも連れてくるか」
「うちもそういうの得意そうな人いるんで連れてきます」
「じゃあ僕、蘭姉ちゃん連れて来ようかな」

穴を広げるべく、各々が思いついた人物を連れてくるために部屋を後にした。

 + + +

「なんか部屋に穴が開いてる…?」

仕事から戻ると、よく分からないけれど空中に穴が開いていた。今日の朝家を出るまではなんともなかっただけに、本当に突然だ。穴の中を覗いてみれば、どこかの事務所のようにも見えなくもない。何か、手がかりになるものでもあるだろうか。そう思って、私はその穴に手を伸ばした。

2016.03.06