揺れる水面、揺れる灯
昼を過ぎた頃、私宛にジョディさんから1つの荷物が届いた。どうせ同じ職場には秀一さんがいるのだから彼に言づけて渡せばよかったのでは、と思うも宛先名を見て一人で納得をする。英語で書かれているその宛先は、名前は確かに私の名前だけれど苗字は秀一さんのものだ。
(コレを、書きたかったんだろうなぁ……)
私が元の世界のときから使っていたものとは違う、秀一さんの苗字。なかなかこの苗字を名乗ることになれないのだけれど、それはきっと時間が解決してくれるだろう。まだ、暫くはかかりそうだけれど。
届いた荷物を開ければそこに入っていたのは随分とかわいらしく包まれているバス用品。ピンクや赤、オレンジなどの暖色を中心に揃えられたそれは、バスキャンドルだったり入浴剤だったりといろいろ詰められている。
「えっ………」
他には何が入っているのだろう、と箱の中身を取り出しているとき。パッと見て分からないように一番下に隠すようにして詰められていたそれに、声が漏れた。
+ + +
「秀一さん、お風呂入ろ?」
「……何を企んでいるんだ」
「ジョディさんにバスキャンドルとかいっぱい貰ったんでどうせ使うなら一緒に楽しみたいなぁって思っただけだよ」
ほらいっぱい、と手に持っている箱を見せれば何か言いたそうに苦笑いを浮かべる。新婚祝いみたいだよ、と言えば先に入ってろとだけ言われたのでいろいろ浮かべたり入れたりすることを了承してくれたと思っていいのだろう。バスグッズを手に持ったまま、着替えを取って脱衣場に向かう。バスキャンドルを入れるなら電機は脱衣場だけでお風呂場は消していていいだろう。バラの形をしていて、お湯に浮かべると少しずつ溶けていく入浴剤があるのを見て、ここぞとばかりに入れてみる。バラ風呂といえば、やっぱり女の子の憧れではないだろうか。あまり普段ではすることのないお風呂に頬を緩めながら、脱衣所へと戻った。
+ + +
私がお風呂に入ってそんなに経たないうちに、秀一さんが入ってきた。秀一さんの上に私が座るようなカップル座りをして、私は水面に浮かぶ花やキャンドルをつついて遊んでいる。
「随分と楽しそうだな」
「こういうお風呂って、女の子なら1回はやってみたいじゃない?」
「……真純は、どうだろうな」
「うーん……」
入れたら入れたで楽しみそうだけれど自分から入れるタイプではないかなぁ。そういって秀一さんに寄り掛かる。それと同時に、秀一さんは私のお腹に手を回して私をぐっと引き寄せた。
「どうかした?」
「たまには、こういうのもいいかと思ってな」
バシャリ、と水面が揺れた。熱を帯びた声色で私の名前を呼んで、お湯の中で私の身体をなぞる。下から上に動いて、柔らかい膨らみを確認するかのように触れる。抵抗しようとしても、秀一さんの手によって育てられた身体は簡単に落ちていく。
項に口付けられて、後ろから首筋を噛み付くようにして痕を残される。その間にも膨らみの形を変える手の動きは止まらず、むしろもっと求めるように突起に触れてきていた。
「っ、ゃ…駄目、待っ、ぁ!」
「駄目じゃ、ないだろう」
「そうじゃ、なくてっ……ん、」
お風呂でしようとすることを咎めるわけではない。確かにいつもと違う場所というのに羞恥はあるけれど、脱衣所の電気しか点いていないからまだ大丈夫、といった程度の話だ。けれど、今の問題はそうじゃない。もっと違う、別のこと。
「…嫌か?」
「嫌、じゃない、けど…ね?ジョディさんに貰った、下着がしたいなって…」
下着って言っても、ベビードールだけど。小さくなっていく声でそう告げれば、そうか、と小さく言ってそのまま胸に触れていた片方の手を下へと移動させた。その手はそのままゆっくりと私の中へと入れられて、指を動かされる。
「ゃ、待っ、て…話、」
「…ここで一回して、寝室でまたすればいいだけの話だろう」
「っあ…そんな、体力…あ、ん!」
「あるだろう?」
いつも何だかんだ言いつつしてるからな。耳元で秀一さんに言われて。いとも簡単に彼の指を受け入れるのを感じながら、あぁもうこうなったら諦めるしかないな。そう思って、迫りくる快楽に身を委ねた。
+ + +
「…もうやだ絶対アレ着ない」
「ノリノリだったのは名前も同じだろう」
「最初だけだもん」
秀一さんに背を向けて、シーツに包まりながら言う。結局お風呂では1回で済まなくて、寝室でも1回で済むわけがなくて。お風呂が2回だったのは覚えているのだけれど、寝室に来てからはもうわけがわからないぐらいにいいようにされた気がする。
拗ねる私をあやすように、秀一さんは私を引き寄せて頭を撫でた。
「……冷凍庫に入ってる、バニラアイスが食べたいな」
ぽつり、と言えば秀一さんは予想外の言葉に肩を震わせて笑う。取ってくるから、それまでに機嫌直しておけよ、と言いながら彼はくしゃりと私の頭を撫でて寝室を出た。その程度で機嫌を直すこと私も私だと思いつつ、疲労感のある身体を起こして脱がされたベビードールを見る。
…さて、次アレを着るのはいつになるのだろうか。