確認と、意思疎通
「本の整理、か?」
「あ、お帰りなさい」
こっちの世界に来てから殆ど使っていない部屋にあった本を、片付けていた。こっちの世界に来てすぐのときに一度片づけてしまおうか、とも考えたのだけれど、もしかしたら元の世界に帰ることになるのだろうか、と思って結局そのままになっていたのだ。
「あまりこの部屋には入ったことが無かったが、すごい量だな…」
「工藤君のところには、負けるけどね」
あそこは本当に図書館でも開けるんじゃないかっていうぐらいに本が多い。主に、ミステリー関係だけみたいだけど。
それにあそこは小説ばっかりだけれど、私の家には勿論漫画もある。
「ホントに、こっちの世界で良かったのか」
秀一さんの手が私の頬に触れる。私の意志を、再確認したいのだろうか。
私が元の世界に、戻れなかったわけじゃない。元の世界に戻る機会は、合った。秀一さんもそれを知っているし、何より今ここに私がいることがこの世界を選んだ証だ。
「私は、秀一さんが私の手を離さない限りはここにいたいです」
頬に触れていた秀一さんの手を掴み、指を絡ませる。他の誰でもない、秀一さんが許してくれるのなら、私はそれでいい。秀一さんが本棚に手をついて、私との距離が縮まる。
「俺は、お前が思ってる程いい男じゃないぞ」
「私だって、秀一さんが思ってる程いい女じゃないですよ」
互いの言葉を了承するように、私たちはキスをする。2人とも不器用だから、言葉を紡ぐことが下手だから、行動で確認するんだ。何も言わずに、口を塞いで、身体に触れて。
「片づけは、今日中にやらないといけないのか?」
「いいえ?時間はありますよ」
「そうか…」
呟くように秀一さんがそう言って。背中には壁があって、目の前に秀一さんが立っているため逃げ場が無い私は、秀一さんからのキスを受け入れる。元々、逃げるつもりなんて無いけれど。
「っ、ぁ…」
徐々に激しさを増すソレに、ぎゅっと秀一さんの手を握る。キスをしながら、秀一さんがフッと笑って、さらに逃げないように、と私の脚の間に膝を入れられて。
「こんな男は、嫌いか?」
「……バカ、」
私の言葉なんか聞いていないように、秀一さんは首筋にキスをして。徐々に身体が熱を持つのを感じながら、それでも秀一さんの身体を押しのけようと抵抗をすればさらに引き寄せられて抱え上げられる。
「たまには、明るいうちからでもいいだろう」
フッ、と笑ったその顔に心臓が高鳴るのを感じながら、結局こうなるのか、と若干呆れつつ息を吐いた。
2015.09.21