■ ■ ■


「えっ、千花ちゃん!?」
「あ、出久」

B組の教室から出てきた金色の女の子は、小学校以来会うことがなかった僕らの幼なじみでした。

「え、デクくんB組の人と知り合いやったん!?」
「初耳だぞ緑谷くん!もしかして彼女も同じ中学だったりするのかい?」
「い、いや彼女は…」

「ちがうよ」

わたし中学私立に入ったから、と彼女が笑ながら言うと、二人とも益々興味津々になって、目を輝かせながら質問をはじめました。
何処の中学?いつから知り合い?幼なじみなの?

なら…

「爆豪くんとも幼なじみなの?」

その瞬間、近くで大きな爆発音が響き、聞きなれた僕らの幼なじみの、これまた聞きなれた不機嫌な怒鳴り声が響き渡りました。

実は、千花ちゃんが雄英に、しかもヒーロー科居ることを、僕は入試の時から知っていたんです。
あの日、試験会場で、彼女の白っぽい金色の髪はとても目立っていて、なにも言わなかったけど多分この怒りっぽい幼なじみも、実は気づいていたんじゃないかと思います。

けど彼も彼女も、視線が交わることはもちろん、一言も言葉を交わしませんでした。何故なら二人は…

「モブの癖に俺の視界にうろついてんじゃねえよ静電気野郎」
「女の子に向かって野郎はないんじゃない?子供の頃その静電気野郎にこてんぱんにぶちのめされてたのは何処のどいつよ。
ねえ、出久?」

僕と怒りっぽい幼なじみ以上に、仲の悪い幼なじみだからなんです。




(どうしたらいいですかね、オールマイト…)
(君の幼なじみ事情、ホント大変だね…)