文化祭




準備期間があっという間に終わり、迎えた文化祭1日目。
俺は放課後の準備にほとんど参加しなかった代わりに、今日はほぼフルでクラスの出し物の当番を入れられていた。
まぁ、縁日なんてどちらかと言えば地味な方だし、人はそんなに来ないだろうなんて思っていたのが…。



「えー!春原くん甚平着てる〜!」
「写真撮ってくれないかな?」
「ってか今撮っちゃえば?」

それはダメでしょ!なんてけらけら笑ってる子達や、何回も俺が担当してるゲームに並んでくれる子達、挙げ句の果てにクラスの屋台の食べ物を差し入れだとくれる先輩達…とにかく、想像以上の盛況ぶりだった。


やっと回ってきた休憩時間。疲れ切ってしまった俺は一緒に回ろうというクラスメイトの誘いを断り、もらった差し入れを手にいつものよう屋上へ続く階段の踊り場へとやってきた。

「…疲れたぁ」

この疲れの理由は当番の仕事以外にもあった。朝から何人もの子に、明日暇なら一緒に回らないかと声をかけられ、それを断り続けてきたからだ。
断るのは心苦しかったけれど、残念ながら明日回る人はもう決まってる。
と言っても明日も最初は当番だし、彼女も委員会の方の当番があると言っていたからそれが終わってからなのだけれど。
そんな彼女は今どこで何をしてるんだろうなんてラビチャを開けば、つい数分前に『文化祭楽しい?』とメッセージが入っていた。


-今日は、ずーっと当番!差し入れ沢山もらったから今から食べるよ!


メッセージと一緒に写真を送れば、すぐに既読がついた。


-おいしそう

-明日何食べたいか考えといてね

-屋台の食べ物制覇したい!


送られてきたメッセージに吹き出しながら、了解!とスタンプを送ったけど、その後既読はつかなかった。


その後、再びクラスの当番に戻って1日があっという間に終わった。はじめての高校の文化祭がほとんど当番で終わるって…。こんなことなら放課後の準備少しでも手伝ったけばよかった。なんて思ったけど、明日の事を考えたらどうって事なかった。





そう思ってたのに!



翌朝、俺は木下から衝撃の事実を告げられた。


「奈々美、クラスの劇出る事になったから今日回れないって」
「えっ」

そう、俺は今日片瀬さんと(ついでに木下と)一緒に回る予定だったのだ。そんな事より、え?クラスの劇??

「なんで?!」
「主役の子が体調崩して休んじゃったんだって」

で、その代役。とあっけらかんと言う木下だが、片瀬さんは練習にはほとんど参加してないだろうし、そもそも彼女は道具係のはずだ。

「それ、大丈夫なの?セリフ覚えたりとか…」
「…まぁ、心配いらないでしょ」


奈々美だし。
目を伏せながらそう言った木下の言葉の意味を、俺は数時間後身をもって思い知るのだった。



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