ハロウィン




今日は10月31日、つまりハロウィンだ。

世間的には盛り上がるこのイベントだが、オレはいつも通り仕事を終わらせ帰路に着く。
ちなみに、IDOLiSH7のみんなは寮でハロウィンパーティーをしているらしく、楽しそうな写真が送られて来た。
ふと、ユキと2人でハロウィンパーティーをしている様子を想像したが、奇妙すぎて思わず吹き出す。おかりんが居ればちょっとは変わるかな。なんて思いながらも、数時間前に連絡が来ていた最愛の彼女のために、気持ちいつもより早めに車を走らせた。

奈々美と会うのは実に1ヶ月半ぶりだった。




「ただいまー!」

自宅へ到着し、挨拶をするも返事がない。今日来るって言ってたのにな。まだ仕事終わってないのかな?なんて思いながら、冷蔵庫からビールを出す。
ソファに腰をかけテレビをつけると、奈々美が出てる化粧品のCMが流れていた。ここ数日流れているハロウィンバージョンだ。

CMは、地味目の女性が仕事から帰宅するところから始まる。疲れ切った彼女に入る一本の連絡。それを見るが早いか、彼女は身支度を整えドレッサーの前でリップをひと塗り…すると鏡の中の彼女は瞬く間に小悪魔の姿に変身。妖艶に微笑む彼女の表情はどんな男も魅了してしまうに違いない。そして間もなく彼女の家に現れた男の首に彼女は腕を回し、先程と同じく妖艶な笑みを浮かべながら唇を寄せる…。
なんて、ちょっとアダルティなストーリー仕立てのCMで、これが巷ではとても人気だったりする。

「この奈々美、えっちだなぁ…」

適度な疲労とアルコールが気持ちを昂らせ、無意識に溢れる。と言うのも、先述したように最近お互い仕事が忙しく、彼女に会えていない。つまり、彼女に1ヶ月半も触れられていないのだ。大好きな人とはそういうことをしたくなるもので、ちょっと露出のある服を着た彼女が出ている、たった数秒のCMで、前回の行為を思い出して、体が熱を持ち始める。なんてことは、そう珍しくはないのだ。とりあえず彼女が来る前に溜まった熱を一度どうにかしようと、何時頃着く?と、ラビチャを送る。すると同時に隣の寝室からラビチャの着信を知らせる音が聞こえた。

ん?寝室から…?

まさか、と思いながら寝室へ続くドアを開けると、ベッドの上に人影が。近づいてみたら案の定、俺のベッドで気持ちよさそうに寝ている奈々美の姿があった。
そこまではよくある光景だが、問題はその格好だ。光源が隣の部屋からの光のみのため、暗くてよく見えないが、とにかく肌色の面積が広い…気がする…。

部屋の電気をつけて彼女を見たいという気持ちと、気持ちよさそうに寝ている彼女を起こしたくないという気持ちが葛藤したが、なんとか後者が勝った。オレはベッドサイドのランプをつけると、淡い灯に包まれている奈々美に目を向け、思わずゴクリと音を鳴らしながら唾を飲む。
そして気が付いたら横たわる奈々美に覆いかぶさっていた。その振動と、ベッドのスプリングの音で、彼女はゆっくりと目を擦りながら目を覚ます。

「んっ……ももちゃん?ごめんねぇ、寝ちゃってた…」
「大丈夫だよ。ただいま、奈々美」

寝起きでふにゃふにゃの状態の彼女は、おかえりぃ。と言いながらオレの首に腕を回し、チュッと音を立てながらキスをした。

「どうしたの?珍しく積極的じゃない?」
「今日は私、小悪魔だから」

ね?と言いながら自身の頭の上を指差す。そこには小さな黒いツノが2本。しっぽもあるよ。なんて言ってる彼女は、先程テレビで流れていたCMの小悪魔の衣装を身に纏っていた。モモちゃん、この格好好きでしょ?と妖艶に笑う奈々美。そういえばあのCMの撮影日に、ラビチャで写真が送られて来て、絶賛したのを思い出した。

「大好き、もう最高。ねぇ、奈々美」
「ん?何?」
「trick or treat!」
「えぇ?今?ちょっと待ってね鞄の中に…」
と、体を起こそうとする彼女の肩を軽く押し、再びベッドへと横たわらせる。えっ、モモちゃん?と、驚きながらオレを呼ぶ奈々美の瞳は困惑で揺れている。


「ダメ、待てない」


思ったよりだいぶ低い自分の声に苦笑いしながら、先程より熱をもったソレを、奈々美の柔らかい太ももに擦り付ける。それにビクッと体を震わせる彼女を見て、息が詰まる。あぁ、オレきっと今、切羽詰まった表情してるんだろうな、かっこ悪い。そんな事を思っていると、再び彼女の腕がオレの首へ回り、彼女の唇が近付いてきた。しかしその唇は、オレの唇と重なることなく、耳元へと移動する。そして吐息まじりの声で、彼女はこう囁いたのだ。



「お菓子の代わりに、私をあげるね?」



その言葉を合図に、オレは深く口付けをした。



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