あなたしか見えない
「奈々美さん、この苺がいっぱい乗ってるやつどうぞ!」
「プリンもあげる」
あ、ありがとう。と、ケーキとプリンを受け取る奈々美。IDOLiSH7に囲まれてる彼女はちょっと緊張しててとってもかわいい。そんな彼女がなぜ、今オレの目の前で彼らに囲まれているかと言うと、話は数分前に遡る。
ネクリバの収録後、楽屋に戻ろうとするオレは、ゲストで来ていたIDOLiSH7のみんなに引き止められた。すると、どこからともなく流れるバースデーソングと、スタッフにより運ばれてきた大きなケーキ。
そう、今日はオレの誕生日だ。
「百さん!お誕生日おめでとうございます!」
これ、オレ達からのプレゼントです!と、陸から大きな包みを渡された。中身を尋ねたが、中身は帰ってからのお楽しみらしい。その後、バンさんからもプレゼントをもらい、気分は最高!ちなみにユキからは、朝イチでプレゼントをもらった!(流石ダーリン!)
「みんなありがとう!」
とりあえず写真撮ろ!と、おかりんに楽屋から携帯を持って来てもらうまでの間、みんなでワイワイ談笑していたら、もっ百くん!と、おかりんがオレの元へと駆け寄ってきた。
「ん?どうしたの?おかりん」
「いや、あの、奈々美さんが楽屋にいらしてて…」
小声で話すおかりんとは対象に、えっ?!と、思わず出た驚きの声。みんなは、何かあったんですか?と首を傾げている。チラッとユキに目を向けると、明後日の方向を見ながら、笑いを堪えていた。あ、絶対ユキが呼んだんだ。そう思いながら、数週間前の楽屋での会話を思い出す。
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『あ〜あ〜』
『どうしたの?モモ』
『聞いてよユキ。奈々美、オレの誕生日の日、朝から晩までドラマの撮影で会えそうにないって。その前後も番宣で忙しいみたいだし。会いたかったなぁ〜』
『そう……。大丈夫、僕がとびきりのプレゼントを贈るから』
『ん〜!さすがダーリン!!』
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と、今思うとあの時間違いなくユキが言っていた、"とびきりのプレゼント"とは、今会いに来ている奈々美の事だろう。
「ちょ、ちょっと、ユキ!聞いてないんだけど?!」
「だって、言ってないもの。そんなことよりいいの?早く会いに行ってあげないと」
こっち来ちゃうんじゃない?と言うユキ声と同時に、失礼します。と、聞き慣れた声がした。ギギギと音がしそうな油の切れたブリキのおもちゃよろしく、振り向いた先には案の定奈々美がいた。
「あれ?奈々美さんだ!」
奈々美の姿が見えるが早いか、陸が彼女に駆け寄る。以前、番組で一緒になってから、なぜか慕われているようだ。人見知りな奈々美も、陸のコミュ力に押されたのだろう。それ以来ラビチャで連絡をとったり、CDをもらったりしているらしい。
「奈々美さん、どうしたんですか?あ!お花って事は、百さんのお祝いですか?」
「そう。いつもお世話になってるから。ちょうど隣のスタジオで撮影してるんだけど、今休憩中で。ユキさんから連絡もらったの。…あの、百さん」
と、いつもとは違う呼び方で、これ、と渡された鮮やかなピンク色の花束。花はブーゲンビリア。彼女からの誕生日プレゼントは、出会った時から変わらずこれだ。
「お誕生日おめでとうございます」
そう言う彼女の笑顔も、出会った時から何一つ変わらない。オレが世界で一番大好きな笑顔。
「ありがとう。…大事にするね」
忙しい中会いに来てくれてありがとうとか、いつから準備してたの?とか、ユキとグルになるなんて!とか、言いたい事は沢山あったけど、今はただ、大好きなユキと、かわいい後輩たちと、そして最愛の彼女とこの瞬間を迎えられた事が何よりの幸せだな。なんて、しみじみ感じていたら
カシャッ−
と、そんな空気をぶち壊す電子音がどこからともなく聞こえた。
「ちょっ、ちょっと環くん?!ダメだろう、許可もなく写真を撮るなんて…!」
「えー、だってなんか、ほわほわーってしてて、いいなー。って思ったから」
みんなだって見惚れてたじゃん。と言う環の言葉に、思わず肩が跳ねる。やばい。えっ、オレたち恋人感出ちゃってた?!バレたかな?!なんて内心焦っていたら、今恋愛もののドラマの撮影中だから、役から抜けきってないのかも。なんて、くすくす笑う奈々美。へー、女優さんってすげーのな。と言いながら、ケーキの横に数個置かれていた王様プリンに手を伸ばす環と、それは百さんへのプレゼントだろう?!と、慌てる壮五。そんな彼らを見兼ねて、大和が指揮を取る。
「んじゃまー、ケーキ食べますか。まだ時間あります?よかったら、片瀬さんも食べてって下さいよ」
ほら、ここ座ってください。と、大和にエスコートされる奈々美。そして彼女は一瞬で7人に囲まれた。あれ?今日の主役オレだよね?なんて思っていると、陸と環からケーキとプリンを渡された奈々美と目が合った。
はやくきて!
みんながケーキに夢中になっている事を確認しながら、必死に目で訴えてくる彼女に、思わずにやける。そんなオレの背中をそっと押し、早く行ってあげな。と微笑んでくれるユキ。イケメン…。って、早く行ってあげないと、奈々美が緊張で爆発しちゃう!
「おーい!盛り上がってるところ悪いけど、今日の主役はモモちゃんだよ?!」
そう言いながら、あはは!そうでした!なんて笑うみんなの頭を撫でくりまわす。そんな俺を見て笑う奈々美に心が暖かくなり、彼女と目を合わせたまま、片手で抱えていたピンクの花束に、俺もだよ。という気持ちを込めて、そっとキスをした。
ブーゲンビリアの花言葉は【あなたしか見えない】
2019.11.11
HAPPY BIRTHDAY MOMO
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