ドッキリ出演?!




「お疲れ様です〜!」

1日の仕事が終わり、廊下ですれ違うスタッフに声をかけながら、1足先に楽屋を出た千とおかりんの待つ駐車場へと向かう。
今日は一回家に帰ってから奈々美の家に行こう。そんな事を考えながら車に乗り込んだ。

「ダーリンお待たせ!」
「待ってたよハニー。あ、ハニーと言えば、ねぇ、奈々美ちゃんSNSでなんだか話題になってるみたいだけど」

ユキからの言葉に、え?!と声を上げSNSを開けば、確かにトレンドに『奈々美ちゃん』と表示されている。
なになに?!とみんなの呟きを見てみると『推せる』『予告だけでかわいさが伝わってきた』『この子クール系は絶対嘘でしょ(笑)』なんて書かれていて、オレは更に詳しく調べた。
どうやら、年始にやるドッキリ番組予告に奈々美が出たらしい。数秒しか流れない予告でここまで世間を賑わせるなんて、さすが奈々美!!なんて、一人でにこにこしながらも、いや、待ってかわいいってどういう事??と首をかしげいたら、ユキが、あぁ。と納得したような声をあげた。

「あの時のドッキリ、来週放送か」
「え、あの時の…?って事はもしかしてユキが仕掛け人?!」
「いや?僕は奈々美ちゃんにドッキリ仕掛けるのでよろしくお願いします。って言われただけで、何もしてないよ。仕掛け1個考えたけど」

それを仕掛け人って言うんじゃないの?!と、ツッコミながらSNSを再びチェックすれば、確かに奈々美の名前と一緒にユキの名前もトレンド入りしていた。

「ドラマの番宣でね。奈々美ちゃんかわいかったよ」
「えぇ〜?!奈々美がかわいいのは当たり前なんだけど、それが公共の電波で日本中に流れるって事?!うそ!やだ!モモちゃん耐えられない!」


そもそも、奈々美は世間的にはクール系で通してるのに何で?!いいの?!ドッキリなんて、奈々美のパブリックイメージぶち壊しちゃうんじゃないの?!
聞きたいことがありすぎて、オレはおかりんに頼んで急遽行き先を変更し、奈々美の家に向かう事にした。






「奈々美、ドッキリの番組出るって本当?!」
「え?うん。本当だよ」

も〜本当いやだったあれ〜!目をぎゅっと瞑りながら嘆いた奈々美に、何で?!キャラは?!平気なの?!と詰め寄れば、奈々美はあっけらかんとこう言った。


「なんかもう、今時キャラにこだわるのもどうなんだろうね?って、ゆうこちゃんと社長は考えていたみたいで、今回の出演依頼にOK出したんだって。ある意味2人が真の仕掛け人…」
「えぇ〜?!じゃあ、これからはいつもの超かわいい奈々美が世の中に出回るの?!日本国民全員奈々美のファンになっちゃうよ?!」

大袈裟だよ。なんて奈々美はくすくすと笑っているけど、全然大袈裟なんかじゃない。奈々美はそれくらいかわいいんだ。そんなかわいい奈々美はオレだけが知ってれば良かったのに!なのに…!

「モモちゃんは、喜んでくれると思ってたんだけど…。やっぱり嫌?」

様子を伺うようにオレの顔を覗き込んだ奈々美に、はっ!として慌てて謝る。

「ごめん!本当に嫌なわけじゃないんだよ!奈々美がずっと悩んでたのも知ってるし、ちょっとずつでも素を出していけるようになるなんて、めちゃくちゃいい事だし!!これがきっかけで仕事の幅も広がるかもだし!でも…」

でも、の後に続けようとした言葉は完全にオレのわがままだと気が付いて、ぐっと口を噤む。

「でも…?」

オレを見上げた奈々美の表示があまりにも不安そうに見えて、わがままでごめんね。と前置きをしてオレは話を続けた。

「やっぱり…かわいい奈々美の事は独り占めしたいなって、思っちゃった」

そう言って目を逸らしたオレを他所に、奈々美はくすくすと笑い始めた。え?!なんで笑ってるの?!と慌てたオレに、奈々美は更に笑い声を上げた。

「モモちゃんに愛されてて、嬉しいなぁって思って」
「奈々美〜…!」
「心配しないで大丈夫だよ、モモちゃんしか知らない私の方が圧倒的に多いもん!」
「本当に?うっかり全部出しちゃわない?」
「出ない出ない!モモちゃんと一緒じゃないと完全に素にはなれないもん!」

だから共演する時は気を付けないと!そう言って笑った奈々美に、オレもつられて笑った。





それから数日後、かわいさが爆発している奈々美のドッキリが全国に放送され、彼女の名前はSNSのトレンド1位に躍り出たのだった。



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