クリスマス
「はい」
お風呂からあがって、ソファの上にとろけるように横になりながらテレビを観ていると、万理から何の脈絡もなく、小箱を手渡された。ラッピングがされているその小箱は、有名なジュエリーブランドのもので、私はそれを受け取りつつ顔を顰める。
「なに?」
「え、クリスマスプレゼント」
「クリスマス…?はっ!」
慌てて起き上がりスマホのロック画面で日付を確認すれば、日付は24日に変わっていた。
「まって、今日もうクリスマス?」
「イブだけど」
「え、うそ、ごめん…プレゼント用意できてない…」
毎年この時期はクリスマス商戦で毎日残業続き。寒いのが苦手だから休みの日に外に出るのも億劫で、万理と休みが合わないと1日ベッドの上で過ごすなんてことも珍しくない。そんなこんなでクリスマスプレゼントのことなんかすっかり抜けていた私は、頭を抱えた。
「本当にごめん。週末用意するから」
「いいよ別に。俺があげたいだけだし」
「でも…」
「それより、開けてみて」
隣に腰を下ろした万理と促されてプレゼントを開ければ、中に入ってたのはシンプルな指輪で思わず、えっ。と声を漏らす。
「今日明日と年末年始、なにかと忙しくて一緒に過ごせないから、その代わりって事で」
自分の右手を軽く上げながらそう言った万理の薬指には、同じデザインの指輪がはめられている。
「えっ…えぇ…?」
「ははっ、なにそれ、どう言う反応?」
「いや、なんか、万理ペアリングとか嫌いかなって思ってたから、びっくりして」
未だに信じられなくてただ指輪を眺めているだけの私から、万理が小箱ごと指輪を取り上げる。それを目で追えば、楽しそうに笑ってる万理と目が合った。
「右手出して」
その言葉におずおずと右手を差し出せば、万理の大きな手にそっと包まれる。そして右の薬指に、指輪が通される。
「…嬉しい」
「よかった。…色々落ち着いたら、こっちにつけるやつ渡すから」
もうちょっと待ってて。そう言って私の左手に指を絡めた万理の顔がなんだかすごく優しくて、直視できない。
「あ、照れてる」
「…照れるに決まってんじゃん」
「かわいいかわいい」
「それやめて」
赤くなった顔を誤魔化すように万理に勢いよく抱きつけば、万理はくすくすと笑いながら私の頭を撫でてくれる。
「仕事、忙しいと思うけど、あとちょっと頑張れ」
「…うん。万理も、年明けまで頑張って」
ありがとう。そう言ってぎゅっと抱きしめてくれた万理に、こちらこそありがとう。の気持ちを込めて、私はそっとキスをした。
Merry Xmas 2020
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