【clap log】雪
「モモちゃん!見て!雪降ってる…!!」
窓の前に立ち、手招きしている奈々美の隣に並んで外を見れば、雪が降りしきっていた。
「え?!本当だ!!通りで寒いわけだ…!」
「積もるかな?」
「んー、どうだろう?」
まだ雨も混じってそうだよね。そうだよね。そんな事を話しながら、2人でいそいそとこたつへと潜り込む。こたつの中で足が当たって、どちらからともなくくすくすと笑い声を上げた。
その後、なんとなくテレビをつけてみていると、奈々美はどこからか取り出した油性ペンで、こたつの上に積まれていたみかんに何か描き始めたのがわかった。
「何描いてるの?」
「ん?モモちゃん!」
じゃーん!という効果音と共に差し出されたのは、ウィンクをしながら舌を出している顔が描かれたみかん。確かに、オレに似てる。
みかんをもう一つ手にした奈々美。今度は誰?と問い掛ければ、誰でしょう?と逆に問いかけられた。
「あ、ユキだ!」
「正解!」
かわいい感じに描かれてるけど、目元に黒子があってユキだってわかった。続いてにこにこ笑っている顔が描かれたみかんが置かれる。多分、これはバンさんだ。
「オレも描いてあげる」
奈々美の手から油性ペンを受け取り、山の中から少し小さめのみかんを1つ手に取る。そこに彼女の顔を描いて見せれば、嬉しそうに笑ってくれた。
「すごくかわいい!…あっ、見てみて、みかん2つ重ねると雪だるまみたい」
「たしかに!」
「積もったら明日雪だるま作りたいなぁ」
「いいね!こーんな大きいの作ってあげる!」
両腕をめいいっぱい広げながら言えば、大きすぎだよ。と笑い出した奈々美。かわいいなぁ。そんな事を考えていると、のんびりした空気とこたつのせいで眠気が襲ってきて、ついあくびが出てしまう。
「モモちゃん眠い?」
「んー、ちょっとだけ」
「じゃあ今日はもう寝よっか。…あの、寒いから、くっついて寝ていい?」
そんなかわいいお願いをオレが断るはずないのに、頬を染めながら様子を伺うように首を傾げた奈々美に、オレは勿論!と勢いよく頷いた。
翌朝、オレが起きた時には奈々美はもうバルコニーに居て、その足元には小さな雪だるまが2つ寄り添うように置かれていた。
「我慢できなくて早く起きちゃった」
照れたように笑った彼女がなんだかとても愛おしくて、冷え切った手を両手で暖めながら、赤くなった鼻にキスをした。
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