夏真っ盛り、日もだいぶ伸びて天気の良い日は19時近くまで明るい今日この頃。何か夏らしいことがしたい。とボヤいた奈々美に、夏らしいこと? と首を傾げる。

「そう。なんか、夏らしいこと何もしてないなって」
「現在進行形でかき氷を食べてる人が言う言葉か?」
「はぁ、わかってないね。万理」

 やれやれと肩をすくめ、かき氷を口に運んだ彼女は頭を抑えながら目をぎゅっと瞑った。今日何度目かわからないその光景に小さく笑みをこぼした後、夏らしいことか。と頭の中に夏の風物詩を思い浮かべる。

「海でも行く?」
「えっ、海?行く……!あっ、いや、行かない」
「なんだそれ」

 何か理由があるのかと尋ねれば、奈々美は気まずそうに視線を逸らしながら呟いた。

「……ったから」
「え?」
「だから!太ったから、水着着たくないの!」

 何度も言わせないでよ! と口を尖らせて再びかき氷を口に運んだ奈々美に、俺は再び首を傾げる。

「別に体型変わってないけど」
「……体重増えてたんだもん」
「体重?見た目に出てないんだから気にしなくていいだろ」
「いや、気付いてないだけでいろんなところに肉ついてるんだよきっと」

 はぁ。と吐かれた大きなため息に、いつも見てるけどどこも変わって無いと返せば、奈々美はかき氷を崩していた手を止めてじと目で俺を見てきた。

「いつも見てるってどう言う意味」
「え?どう言うって……」
「……最低なんですけど」

 何かを察したようにそう呟いた奈々美に、まだ何も言ってないけど。と心の中でつっこみながら、俺はとある事に気が付き、あ。と声を漏らした。

「何?」
「目に見えて変わったところ、一つだけあるかも」
「えっ!?どこ!?」

 テーブルに手を付き、ガタッ! と立ち上がった奈々美の顔から、俺はほんの少し下に目線を下げて、付き合い始めた頃よりも幾分か大きくなったそこを見つめる。
 何も言わない俺の視線を辿ったあと、奈々美は無言で着席しかき氷を平らげ、変態。と、心外な言葉だけを残して寝室へと姿を消したのだった。



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