天体観測
「…っくしゅ!」
寒空の下、身を震わせていると、思わずくしゃみが出る。
「ななみん大丈夫?さみぃの?」
ほら、これ着てろよ。と、隣を歩く環くんが上着を脱ぎ、私の肩にかけてくれた。身体の大きな環くんの上着は私には大きすぎて、環くんは、ぶかぶかじゃん、うける。なんて笑いながら上着のチャックを閉めてくれる。
「環くんが風邪ひいちゃうよ?」
「オレ、体温高いから、大丈夫!」
ほら、と私の頬を包む手は、確かにこの寒さの中でもポカポカとしていた。
1泊2日泊まり込みのロケ。1日目の夜、成人だけで盛り上がっている宴会に飽き飽きしていた環くんが、星を観に行こう。と私に声をかけてきた。
「この先、ちょっと行ったとこに、キレイに見えるとこがあんだって」
さっき、旅館のおばちゃんに聞いた。
とか、もうすぐ流星群が観られるんだ!とか、誇らしげに鼻を鳴らす環くんに流され、気付いたら2人で夜道を歩いていた。
そういえば、環くんは星を観るのが好きだったっけ。
あっという間に目的地に着いた私達。そこは、少し開けた高台で、地面は芝生になっていた。
オレここー!と、芝生の上に寝っ転がる環くんに、早くー!と言われ、隣に座る。
「ななみん寝ねぇの?」
「うん。環くんの上着汚れちゃうから」
「そんなんいいから!寝た方がすげぇから!ほら」
そう言いながら自身の腕を横に伸ばす環くん。恐らく、ここに寝ろ。と言うことなんだろう。こんなところで駄々をこねられても困るし。と、大人しく環くんの腕に頭を乗せて寝転がる私。
な、すげぇだろ?と、言う環くんの声を合図に空に目を向けると、満点の星空が広がっていた。
「すごいね。あっ、流れ星」
「え?どこ!?」
お願い事した?!と、興奮気味に聞いてくる環くんに、してないよ。と笑いながら答える。オレもぜってー見つけて願い事すんだ!と息巻く環くんに、何をお願いするの?と尋ねてみた。
「えっとー、まず王様プリンいっぱい食べれますように。あとは、IDOLiSH7がもっとでっかくなりますように。そーちゃんがオレの部屋のドア壊さなくなりますように。あとは…」
その後も暫く続いた環くんのお願い事だったが、でも一番はこれ!と、私に横から抱きつきながら、そっと呟いた。
「ななみんとずっと一緒にいられますように」
その呟きと同時に、空に向けていた私の目の前を静かに星が流れた。
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