【clap log】髪を乾かしてもらうお話
「あっ!」
シャワー浴びてスキンケアをしている最中に、モモちゃんが声をあげた。
「どうしたの?」
「髪!また乾かしてない!」
もー!髪は女の命だよ?!とタオルでガシガシと私の頭を拭くモモちゃんに、だってめんどくさいんだもん。と呟けば、ほらここ座って?と手を引かれる。
「乾かしてあげるから」
「はーい」
言われるがまま、ソファに寄りかかっているモモちゃんの前に腰を下ろせば、トリートメントを馴染ませてくれる。
そしてモモちゃんの手が私の髪を数回梳いたかと思えば、間髪入れずに温かい風が吹き付けた。
「すぐ乾かさないと痛んじゃうよ?」
「んー?はぁい」
ゴーという風の音でモモちゃんの声がうまく聞き取れないけど、多分痛んじゃうから早く乾かさなきゃだよ!ってお話だと思う。
その後もモモちゃんは何か喋っていたけれど、何も聞き取れなくて、私は返事をするのをやめた。
モモちゃんは私の髪が好きらしい。
直接聞いたわけではないけれど、彼の仕草がそれを物語っている。
2人でテレビを観ている時や一緒に寝る時、指でくるくると私の髪をいじったり、撫でたり、手櫛で梳いたり…とにかく私の髪に触る癖があるのだ。
今では背中の真ん中辺りまである私の髪だけれど、一度私が同じくらいの長さから、役作りのためにボブヘアにした時、なんで!?と泣きつかれた事もあった。
モモちゃんが私の髪を乾かすために買ってくれたこだわりのドライヤーの威力は凄まじく、ものの数分で髪は乾いた。
ドライヤーのスイッチを切った後、指通りを確かめるように、モモちゃんの指が再び私の髪を梳く。
「うん、今日も綺麗な髪」
モモちゃんは髪を乾かし終わった後、いつもこう言い、私の髪を撫でながら、後頭部にキスをする。
本当は面倒なんじゃなくて、これが聞きたくてわざと乾かしてないなんて言ったら、モモちゃんはどう思うのだろう。
そんな気持ちを隠すように私は自分の髪を一房手に取り、毛先に目を落とす。
「モモちゃん、私の髪好きだよね」
「えっ?」
「いつも気付いたら触ってるもん」
無意識?とドライヤーを片付けているモモちゃんにそう尋ねれば、うーんと、顎に手を当てながら何やら考え込んでしまった。
「なんていうかさ」
片付けが終わったモモちゃんが私の正面にしゃがんで、先程まで私がしていたように、髪を一房手に取る。
「こんな風に、奈々美の髪に触れるのはオレだけだから」
つい触りたくなっちゃうんだよね。そう言いながら手に取った髪にキスを落とすモモちゃんに、思わず頬が熱くなった。
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