【clap log】ホワイトデー
いつもよりのんびり起きた朝、2人で朝ごはんを食べながら、今日の現場の話をしていた時、あることを忘れていた事に気付き、あっ!と声を上げた。
「モモちゃん、どうしたの?」
「奈々美に渡すものがあったんだった!ねぇ、目瞑って?」
「えっ?なになに?」
期待で目を輝かせている彼女の目元を、いいからいいから!と、言いながらそっと手で覆えば、はーい!と言う返事が返ってくる。
「瞑ったよ」
「目開けちゃダメだよ?」
「ふふっ、開けないよー!」
そう言いながら自身の手で目元を隠した奈々美に笑みを溢しながら、用意したそれを彼女の目の前に差し出し、目開けていいよ。と声をかける。
ゆっくりと目を開けた奈々美は、瞬きを数回して首を傾げた。
「えっと…これは?」
バレンタインのお返し!と言えば、奈々美は、あっ!そっか!ホワイトデーだ!なんて、机の上のデジタル時計の日付けを確認した。
「開けていい?」
「勿論!」
わくわくとリボンを解いた彼女が開けたそれはボックスフラワーで、中身は9本の薔薇。そして
「モモちゃん、これ…」
「まだあげたことなかったなぁって」
きらりと光る、小ぶりなピンク色の石が埋め込まれている指輪。
それを見ながら薄らと涙を浮かべる奈々美に、オレは本当はさ。と話を続ける。
「ここにつけるやつ、あげたいんだけどね。まだ当分、あげられそうにないから…」
そう言って彼女の左手をそっと握れば、そんなのいいんだよ。って言いながらその手を握り返してくれる。
「だから今は、予約だけさせてね」
涙を流す奈々美の左手にそっとキスをすれば、彼女はオレ耳元でこう囁いた。
「出会った時からずっと、モモちゃんのために空けてあるよ」
2020.03.14
Happy White Day to you!
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