【clap log】ドンモモちゃん




「モモちゃんモモちゃん!」

そう言いながら興奮気味に詰め寄ってくる奈々美。
両手を自身の背中で隠しているから、きっと何かを持っているのだろう。


「どうしたの?」
「見て、ドンモモちゃん!」

じゃーん!という効果音とともに目の前に出されたのは、某太鼓のゲームとのコラボのぬいぐるみだった。
オレを模して作られたそれは、しゃもじを片手にウィンクをしている。そういえば、随分前に試作段階の写真を見せてもらったっけ。
そんな事を考えながら、そのぬいぐるみの呼び方に疑問を持った。

「何モモちゃん?」
「ドンモモちゃん」
「ドン…」
「SNSでそう呼ばれてたの!」

ねー!ドンモモちゃん!と、ぬいぐるみに話しかける彼女に、それどうしたの?と尋ねれば、仕事帰りにゲームセンターで取ってきた。と言うのだから驚きだ。

「え?!自分で取ったの?」
「そう!しかもね、一発で取れたの!愛の力!」

奈々美が1人でクレーンゲームをやっている姿を想像したら、似合わなさすぎて思わず笑ってしまう。
そんなオレを他所に、ドンモモちゃんの頭を撫でながら、かわいいかわいいと言っている奈々美。
仕舞いにはドンモモちゃんとRe:valeのグッズを一緒に写真を撮って遊び始めた。

オレを差し置いて!


「…ねぇ」
「んー?」
「本物のモモちゃんがここに居るのに、ぬいぐるみに夢中なんて酷くない?!」

そう言いながら後ろから抱きつけば、えー?とくすくす笑う奈々美。

「やきもち?」
「別にやきもち焼いたわけじゃ…」

ないけど、と続けようとした言葉は奈々美の唇で遮られる。

「…へっ?!」

不意打ちのキスに思考が停止する。

「やきもち焼いてるモモちゃんもかわいい!」

そう言いながら俺の頭を撫でる奈々美に、顔が赤くなるのを感じた。も〜!と言いながら、今度は彼女を正面から抱きしめれば、モモちゃん。と名前を呼ばれる。
その声に返事をしながら腕の力を緩めて、少し距離をとれば、再びチュっと小さな音が部屋に響く。



「キスはモモちゃんとだけだから許して?」



ね?と、首を傾げる奈々美に、オレはただ顔を赤くして、うんと頷くことしかできなかった。



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