【clap log】お正月




「あっ、百さん」

新年の挨拶のためにテレビ局をふらついていたら、聞き覚えのある声に呼び止められる。
振り返ればそこには、着物を着た奈々美がいた。

「あけましておめでとうございます」
「あ!あけおめー!」

今年もよろしくお願いします。
そう言いながら2人でお辞儀をする。


大晦日と元日はお互い忙しく、年を越してから顔を合わせるのは今日が最初だった。
着物似合ってるね。と言えば、えっ、そうですか?と頬を染める奈々美。
その姿が可愛くて、オレ以外にそんな顔見せちゃダメだよ。と囁けば、彼女の顔は更に赤く染まった。


「モモちゃん…えっと、百さんの和服も、その、すごくかっこいいです…!あっ!ブラホワ!お疲れ様でした」
「ふふっ、ありがとう。ブラホワ、どうだった?モモちゃんかっこよかったでしょ?」
「すごく、かっこよかったです!…また、百さんのファンが増えちゃいますね。百さん、ファン思いだから」

ちょっとやきもち焼いちゃうかも。

そう呟いたあと、上目遣いで俺を見てくる奈々美に思わずニヤける。
その後何を話すわけでもなく2人で笑い合っていると


「お二人さん、新年からお熱いね」


どこからともなく現れたユキに声をかけられ、2人して肩を跳ねさせる。


「ユキさん…!あけましておめでとうございます!」
「おめでとう。それにしても、通ったのが僕でよかったね」

じゃなきゃ変な噂が回っちゃってたかもよ?と言いながら、ほら並んで。とオレ達を並ばせるユキ。その手にはスマホが握られている。
え?え?と状況が理解できてない奈々美に、写真撮ってくれるって。と言えば、ぱーっと表情が明るくなった。


「じゃあ撮るよ」


と声をかけられ、シャッターが切られる。
もう1枚いい?とユキにお願いして、2枚目のシャッターが切られる瞬間に、俺は奈々美の肩を抱き、その頬にキスをする。
ちょっと、モモちゃん!と小声で怒る彼女と、ヒューと口笛を吹くユキ。
ちなみに、周囲を見てスタッフが居ないのは確認済みだ。


「誰も見てないから大丈夫!」
「僕は見てたけどね」


ユキがそう言えば、爆発しちゃうんじゃないかってくらい顔を真っ赤に染めて、わ、私もう行きますから!と言いながら、ぷんぷん、と音が聞こえてきそうなほど怒ってしまった奈々美。
そんな彼女を尻目に、オレはユキにもう1枚と、指で合図を出す。

楽屋に戻ろうとする奈々美に、待って。と声をかけ、今度は着物の袖で隠しながら、振り向いたその唇にキスをした。



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