終わりの始まり
「お前のその髪型結構好きだぜ」そんな中学の時の安直な一言でずっとツインテールをし続けた私は本当に間抜けだと思う‥思えば私とジャンは小学校からずっと何故かおんなじクラスで家も近かった私達は必然的によく遊ぶ事が多かった、中学に入ってからはお互い距離を取り始めたものの一番仲良かった女子は私だったし、高校3年になってもまわりからは2個1にされる事も多くいつかは自然にそういう関係になれると思っていた
「俺!お前が好きだ!」
その言葉を言われるのは自分だと思っていたのにまさかの実際に言われているのは隣のクラスのミカサで‥当の私はたまたまそれを校舎の影から聞く羽目になるなんて夢にも思わなかった訳だ‥
♢
ミカサの返事も聞かないままゆっくり気づかれないようにその場を立ち去って私が走っていった先は屋上だった
「っはぁ‥‥ぅう‥‥」
息もつかないまま走り続けた肺は限界のようで荒くなった息を吐きながらとめどなく溢れる涙を流しながら顔を拭った、何年も一緒にいて私はずっと彼が好きだったが確かによく思い返してみれば彼はミカサをよく目で追いかけてた気もするしずっと両思いだと勝手に思って空回りしてたのは私だけだったのだと考えると悔しいやら自分が情けないやらでみっともなく泣き続けていた。
「ひっく、うぅ‥ずびっ」
ようやく涙も止まり始め、鼻を啜っていると不意に横からポケットティッシュが差し出され「使えば」と声をかけられる。
「ずびっ‥ありが‥え!?」
思わずティッシュを受け取ろうとした所で私の思考は完全に固まり思わず静止して横を見る、そこには同じクラスのエレン君がいて私は完全に固まってしまった。
「何、使わねぇの?」
「あ‥いや‥ありがとう‥」
とりあえず焦る思考を抑えながら必死に冷静を装いティッシュを受け取り鼻を噛み、エレン君を見る
「‥いつから居たの」
「あー‥お前が屋上に来た辺りから」
罰が悪そうに頬をかきながらエレン君がそう言うもんだから私は何にもいえずに気まずい顔をするしかできなかった。そもそも彼とは同じクラスとはいえ大した接点もなくどちらかというとジャンと仲の良い私とその彼とどちらかと言えば犬猿の仲のエレン君とは関わりを避けていた節があった。
「(気まずすぎるし‥なにより寄りにもよってエレン君に見られるなんて‥最悪だ)」
私がこのあとどう言い訳をするか考えているとエレン君が先に口を開いて「ジャンの事だろ」と私に言ってきたので益々私が何も言えず俯いていると彼はもどかしげに口を開いた。
「あのさ!俺にしとけよ!」
「はぁ?」
彼の一言に私が素っ頓狂な声をあげて思わず視線を向けると彼は少し頬を赤らめて真剣な顔をしてこちらを見ていた。
「‥どういう事?私と貴方にそんな接点あったかな?」
訝しげにそう答えれば彼は顔を赤らめたまま視線を少し恥ずかしげに私から離すとぽつりぽつりと言葉を紡いだ。
「‥2年の頃、お前学級委員やってただろ」
「そうだけど‥それが?」
「それで一回進路の希望調査の紙集めてた時にさ‥俺だけ出してなくて居残りしてた時の事‥覚えてねぇか?」
一瞬何の事か分からず考えると確かにそんな事もあった気がする、が、それがなんの関係が?と不思議な顔をする私にエレン君はため息混じりに「やっぱ覚えてねぇよな」と呟いて続きを話し始めた。
「俺あん時将来の夢とか分かんなかったんだけど、お前が「硬く考えなくていいと思う好きな事とかしたい事で考えれば?」って言ってくれてさ」
あーそんな事を言った記憶もある‥正確には「私なんてお嫁さんだよ?こんなくだらない事でもいいからとりあえず好きな事書いちゃいなよ!」とかなんとか適当な事を言った気がする。
「それからずっとお前ともっと話してぇと思ってたけど、ジャンと幼馴染だって知ってアイツが好きな事も見てたら分かった」
え、嘘!そんなにバレバレだったのかと私が苦い顔をすると彼は「気付いてねぇのはジャンくらいだよ」と続けた。
「正直ジャンと付き合うなら忘れようかと思ったけどお前がさっき泣いてるの見て‥我慢できなくなった」
伏せ目がちに話していたエレン君はもう一度私の方を真剣に見てゆっくり次の言葉を続けた。
「俺ならお前を泣かせたりしないし、絶対大事にする‥ッ」
そんな真剣に男の子に告白されたのは生まれてこの方初めてだったから私まで顔を真っ赤にしてしまった。
「‥正直エレン君の事そんな目で見た事なかったし‥さっきまで私ジャンの事が好きで‥」
エレン君から目を逸らしてふと校門の方に視線をやるとそこには帰宅する学生達の中に柔らかい顔のミカサと頬を赤くして私が見たことない顔をして笑うジャンが見えた。キュッと屋上の柵を掴むと私は意を決してエレン君を見て口を開いた。
「だけど!今日エレン君に告白されて凄くドキドキした!‥まだすぐ好きになるのは無理だけど‥友達以上恋人未満からでもよければよろしくお願いします!」
まだ腫れが引かない目で精一杯笑顔を作りながらそう言えば次の瞬間私の視界はエレン君の制服が視界に一杯で彼に抱きしめられたのだと理解するのに時間がかかったがそれを理解するのと同時に顔が熱くなるのを感じ思わず慌てて「え!エレン君!?」と言えば彼は優しい声色「嬉しい」と小さく呟いた。
「?な、なんて?」
「ぜってぇ好きにさせる!ジャンなんてすぐ忘れさせてやるからな!」
バッと体を離して私の肩を掴んで笑いながらそう言う彼に私もなんだか嬉しくなって「うん」と返した。
それから次の日エレン君に了承を得て髪の毛をバッサリ切った私を見てジャンが驚くのはまた別のお話で。