Memo
2017/02/21 13:57
僕は見てしまった
タケミナカタと幼女ちゃん。
幼子がいた。
声をかけても泣き続けた。
何があったのか聞いても首を左右に振るだけで泣いていた。
手を伸ばしてみても、届かなかった。
よく見れば座り込んでいる幼子の周りは赤かった。周りに散らばっているモノはなんだろうか、目を凝らしてみればソレは人を構成する肉体の一部であった。身体の中に収まっている臓器であった。
ああ、これならば泣いても仕方ない。仕方ない。でも、幼子は赤く染まってはいなかった。それが不思議でならない。
「…泣かないでくれないか…。泣いてる君は見たくないんだ」
幼子は泣き続ける。それと同時に胸の痛みが強くなる。手を伸ばしても届かないなら近寄ればいい。そう思って一歩、また一歩と歩みを進めてみても一向に幼子に近寄れない。
『お前が閉じこもっているから届かないのではないか?』
別の声がして、その声の方へと視線を向ければ鹿が僕を見ていた。
閉じこもってなどいない、僕は諏訪ノ森を守らなければならないから…と口にしたが鹿はやれやれといったようにゆっくりと首を振って僕を見た。ああ、そうだ。それは言い訳にしかならない。狭い森にいては救える者は限られる。じゃあ目の前に居て、届かない幼子は救えないのか…、いや、方法はある。知って、いるんだ。僕は……
『幼子は【独神】と、呼ばれている』
「独神…?!」
『人も、妖も、神も、あの幼子の本心に気付いておるのかはわからぬ。ただただこの暗く、赤い深層で泣いている』
独神が何をしているかぐらい風の噂で知っている。けれど、まさか独神がこんなに小さくか弱い幼子だとは思わなかった。
未だに泣き続ける幼子に、彼等は、タケミカヅチは何をしているのか!!
そして、はっとする。
なぜ僕は彼女の深層にいるのか、わからない…。助けて、ほしいのだろうか…?いや、なんておこがましい、自分の自惚れもいい所だ。
けれど、一歩踏み出すには十分な気がした。
「逢いに行くから、待っててくれないか」
一言、幼子に向かって言えば、ピクリと小さな身体が反応して、俯いていた顔があがり、僕の視線と幼子の視線が交わり、ゆっくりと幼子はうなづいた。
その途端、光が溢れ、その眩しさに瞳を閉じてしまった。
光が収まり、瞳を開けてみればそこはいつもと変わらない森が広がっていた。
あの空閑は、場所は何だったのか。深層、いつ、僕は迷い込んだのかさえもわからなかった。
それでも一つだけ、確かな事がある。
幼子に、独神に僕は会わなければならないんだ。君が泣かないように、君が泣く事のないように、僕が手を伸ばしてあげなければいけないんだ。
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