Memo

2017/02/21 13:59

八つの鍵。

ツイッターに投げていた話。
八傑は鍵であった。
そんな話。


足元は不安定で、まともに立っていられるが奇跡なぐらいだった。夢を、私は夢を見ているのだろう。こんな世界を、淀んだ暗闇を私は知らない。未来の一つなのだろうか、私達が救うはずの八百万界の未来の一つ。
何も、ない世界。

「八鍵……欠けちゃった世界なのかな…」

世界を構成する核、無作為に選ばれるものではなく力ある者が選ばれる。八つの鍵、そして鍵は核そのものと繋がっている。
ソレを管理するのが独神である私の役目で、鍵は神代八傑と呼ばれる彼等、勿論その事を知ってるのは私と八咫烏のみだ。だから私は彼等を守らなければならない、主として認められたその日から、一人で誓った事。
独神としての力がこの世界の、いいえ、八鍵を守れるのならば存分に使いたい…でも、本当は、本当は管理する私が彼等に情を抱いてはいけない。いつか不必要となる私の事をどうして彼等は慈しんでくれるのか……どうしてこんなに私をかき乱すのか、不安材料だというのに私は彼等に冷たく当たる事が出来ない。最初は管理する者として彼等を懐柔させる為に良い人を演じた…はずだったのに……。

「これじゃ…駄目なのに…、【私】が構成されてしまう。いつか還るのが私の役目なのに、還りたくないなんて思って、しまう…」

個としての存在、成してはいけないのに、ああ……世界は、理は、人の情というものはとても厄介で、面倒で、それでも、好きで…。
何も見えない暗闇の中、手を伸ばせば、誰かが握ってくれた気がした。


「主、大丈夫か?うなされてたぞ」
「……あ、あ…うん…スサノヲ…なんで…」
「何でってそりゃ、今日は俺が主のお伽番だからに決まってんだろ。なんか変な汗もかいてるし…本当に大丈夫なのか?」

布団から起き上がった私を心配そうに見つめる彼の手が私の額に当てられる。その手の温かさに瞳を閉じて小さく息を吐いた。
そして、ゆっくりと瞳を開けてスサノヲを見れば先ほどと違って頬が赤くなっていた。

「ありがとうスサノヲ。でも貴方が赤くなってますね、熱が…?」
「い、いやっ、そうじゃねぇって…主の見間違いだろっ…!」
「そうなら良いのですけど…」

私の視界から隠すようにスサノヲがそっぽを向いてしまったので、小さく笑えば、笑うなよな!と、振り返って私に言う。
あれこれ考えるのも大事だろうけれど、私はこの日々をほんの少しだけでも大切にしたいと思った。

「さて、スサノヲが来た所でこれから着替えますね」
「来た所でって……主、体調は「ほら、着替えるんですから廊下に出ましょうね、スサノヲ」…っ、わ、わーった…」

体調は良い、でも夢見が悪かった。それは彼等に話す事ではない。いつか、いつか知られる事だから。
スサノヲの背中を押して廊下に出すと、襖を閉めて小さく謝る。

「……ごめんなさい、もうちょっとしたらいつもの私に戻りますから……」

還る者の話。
Category : ぶん
Tag : バンケツ

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