ありがとう。
年明けと共に送られてきた祝いのメッセージは昼頃になっても途絶えることはなく、それらに返信をしながら本日何度目かの溜め息が漏れた。
「…」
新年最初の日にして、僕と優良の誕生日でもある1月1日。
今年も優良と二人っきりで過ごすことは叶わず…というか、思いっきり阻止されている、父さんに。
リビングのソファーに腰掛けて楽しそうに年賀状を見ている優良と父の姿が視界に映っては眉間に皺が寄るのが分かる。
無言でむすっとしていると、それに気が付いた優良がこちらへやって来ようとするものの、結局は父さんの膝の上へと戻されてしまう。
その様子を見て、また機嫌が下降する。
さっきからその繰り返しだ。
もともと元日が誕生日ということもあって、一番最初に優良へおめでとうと言えたことがない。
年越しの瞬間は父によって邪魔されるし、今年に至ってはE組の連中に先を越される始末。
(…思い出すだけで腹が立つ)
おかげで、新年の挨拶だけになってしまった。
このまま言えず、言われずに終わるんじゃないだろうかと一抹の不安を抱えながら1日を過ごしていたわけだが…。
「……」
気が付けば、あと数分で日付が変わる。
一抹の不安が現実のものになりかけていることに軽くショックを受けている間も、時間は刻一刻と過ぎていく。
このままだと言えないまま今日が終わってしまう。
それだけは避けなければ…。
優良の所へ行くために部屋を出ようとドアノブに手をかけると、ドアが勝手に開いた。
「秀くん…!!」
「優良…!?」
僕の愛称を呼んでそのまま胸板に飛び込んできた優良をなんとか受け止める。
優良は顔をあげると「お誕生日おめでとう…!」と笑顔を向けた。
そのまま「生まれてきてくれてありがとう」とか「今年もよろしくね」とか祝いの言葉を捲し立てる姿に何がなんだか分からず、目を丸くする。
…さっきまで、言ってもらえないんじゃないかとか、忘れられたのかとか色々考えていただけに思考が追いつかない。
優良に突然どうしたのか聞いてみたら、一番最初にお祝いの言葉がもらえないことを相談したら一番最後を狙ってみたらどうかとアドバイスをもらったらしい。
(……)
優良のその言葉が何より嬉しくて、口元が緩むのを感じる。
そんな僕の顔と時計を交互に見つめて、言ってくれないのかな…?と少し不安そうに首を傾げる優良の頭を撫でた。
「ありがとう」
「優良もお誕生日おめでとう」と言葉を紡いでから、優良を抱きしめたままベッドへと沈んだ。
『Happy Birthday』
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CrystalpalacE