仲良きこと

※R-15(閲覧は自己責任でお願いします)

「三日後には帰ってくるから、それまで待っててね」
「はい、いってらっしゃいませ」

ナザリックの入り口には、アインズを初めとした主要なメンバーが集まっており、first nameとジンを見送っていた。
見送りの先陣を切っているのはデミウルゴス。彼とfirst nameの仲は皆の知る所であり、名残惜しそうにfirst nameの手の甲に口づけを贈っていることをとやかく言う者はいない。
内心アインズはその様子を赤面しているのだが。

「それでは、行ってまいります」

名残惜しそうにデミウルゴスはfirst nameの手を放し、一礼をした。
ジンの言葉を最後にゲートを開くと、2人は自身の統治するヘルセレム国の公務のため、ナザリックを発った。
それが昨日のことである。

__________

ナザリック地下大墳墓には様々な施設が存在し、バーはその一つだ。
さて、本日は珍しい人物が1人グラスを傾けていた。

「デミウルゴス…オ前ガ ココニ居ルトハ、珍シイナ」
「おや、そういう君こそ珍しいね。コキュートス、それにセバスも」
「偶々通リカカッタラ、オ前ガ居タカラ 気ニナッテナ」
「同じく、気になりました次第で」
「そうかい…立ち話もなんだ。隣へどうぞ」

人数が増えたことで圧迫感が増したカウンターに、それぞれグラスが用意される。
黙ってそれを傾けた一同であるが、初めにセバスが口を開いた。

「いつもこの時間は部屋でお休みになっているよう記憶しておりますが、やはりfirst name様がご不在ですと落ち着かないのですか?」
「……はあ、当たらずとも遠からずだよ」

一つため息を吐くと、デミウルゴスはグラスを置いた。
度数の高そうなウイスキーを口に運んでいるが、デミウルゴスを常に惑わせ酔わせるのは、彼に愛し愛されるfirst nameをおいて他にはない。

「そう…この時間、寝室にいると落ち着かなくてね…。条件反射というか…、私自身も驚いたんだがね」
「条件反射…何ノ事ダ?」
「ん?いや、毎日シてるものだから、寝室にいるとどうにも興奮してしまってね」

薄々気づきかけていたセバスを他所に、素朴な疑問をコキュートスがぶつけたことで、革新的な言葉を引き出す結果となってしまった。
コキュートスは事態を飲み込めないのか言葉を失っている。
セバスだってそうしたかった。同じ部屋で、しかも寝具を共にするということは、当然そうなると予想できるものだが、まさか毎日…。

「な、仲がよろしいのですね…」
「今でも信じられないよ、first nameと呼んでほしいだとか、不敬だと思わず求めるままに伝えてほしいだとか…。first nameを毎日独占できる権利を頂けるなど、本当に身に余る褒美だよ」

何時もの胡散臭い笑顔ではなく、ゆるく口角を上げている表情は、まさに幸せを体現しているよう2人の目には映った。
さて、少々惚気られたことで余裕の生まれた2人は、こんな機会はないと口を開いた。

「テッキリ 部屋デモ 執務ヲ行ッテイルト 思ッテイタガ、違ッタノカ」
「御方はその辺は厳しいだろう?私も…せっかくfirst nameと過ごせる時間だからね、first nameもそれを望んでいるようですし」
「そう、不思議だったのですよ。アイテムを装備している我々は毎日睡眠を摂る必要がありませんが、毎日どうしていらっしゃるのかと」
「まあ、疲れれば睡眠をとる日もあるよ。少し私の歯止めが効かなかった日、とかね」

何でもないことのように言っているが、要するにfirst nameやデミウルゴス自身が睡眠をとる程度には疲労するほど愛し合っている、と言うことのようだ。一体どれだけデミウルゴスは盛っているのか。

「しかし普段の貴方は、first name様に対して、それほど自らの気持ちの通りに接しているようにお見受けしませんが?」
「ああ、それはね。first nameはいつでも対等にしたいと言っていましたが、流石にそれでは示しが着かないので。終業後の部屋の中だけ、と言うことで手を打って頂きました」

セバスは内心、本当に何の気後れももなく答えるのだな、と思っていた。
デミウルゴスの口調はアインズに進言をするときと変わらずひょうひょうとしている。間違っても夜の事情について話しているようには思えない。
悪魔という属性がそうさせるのか、しっかりしてそうなデミウルゴスだが、羞恥心には疎いようだ。

「シカシ、イクラfirst name様ガ良イト オッシャラレテモ、不敬デハナイカト 戸惑ワナイノカ?」
「その通りさ。最初は私も苦悩したよ。一体どこまで求めても許されるのか?何度なら連続でシてもいいのか?後ろから抑えて事に及んでもいいのか?咥えて頂いてもいいのか?それで、その…口に射精してもいいのか、とかね」

漸く話しすぎたと思ったのか、デミウルゴスは少し頬を染め咳ばらいをした。
そしてセバスはようやく一つの仮説に辿り着いた。もしかして、こいつ顔に出てないだけで酔っているのではないかと。

「結局それはお伝えしたのですか」
「いえ、ただ…、私の欲望はできるだけそのようにせよと、first name様から強く要望を頂きましたので、嫌なら<支配の呪文>を唱えて頂くことでご慈悲を頂きました」
「唱エラレタコトハ、」
「…?ありませんが」
「左様ですか…」

つまり今言ったことは全て慈悲をもらい、実行済みということなのだろう。
シモベが御方にご奉仕頂く、とは何とも不敬極まりないことのように思われるが、first nameもそれを望んでいるのなら免責されるのだろう。

「性的なことは男にリードするものだと、first nameは言っていましてね…確かに一々許可を得ていた際は、非常に恥ずかしがっておられて…それも興奮したのだがね」

初めは一々聞いていたのだとすれば、確かに鬼畜の所業である。
それを無自覚で行って、あまつさえそのせいで更に衝動を強めているのだから手に負えない。

「とはいえ、事に及ぶ前にはお伺いを立てないのですか?」

もうここまで聞いてしまったのだ。2人の心は一致していた。
こうなれば最後まで聞いてしまおうではないか。もしかすると今後執事としてナザリックに仕える上では、御方と守護者の性事情も何かの訳に立つ日が来るかもしれない、とセバスは自分に言い訳をした。

「それはですね、まず私が求愛の口づけをします」
「…求愛」
「想いが伝わるように丁寧に情熱的に行っている間に、first nameの尻尾が私の尻尾に絡みついて来れば、今夜はOKという取り決めになっています」
「なんと…そのような取決めが…」

まるでYes/No枕のようなそれだが、無駄な知識の与えられていないNPC達はそんな枕の存在など知らないのであった。
忘れかけているが、冒頭で「毎日シている」発言があったことを思うと、この求愛とやらも毎日行われているに他ならない。その事実には幾分余裕を残しているセバスだけが気づいたのであった。

「そのようなご寵愛を受けていれば…、夜は落ち着かなくなるというのも理解できました」
「我ガ友ガ 幸セソウデ 何ヨリダ」

赤裸々に語られて今更感もあるが、そろそろこの辺でお開きとした方が良いだろうと判断した2人は、緩やかにまとめへと入っていった。
これまであまり接点のなかったコキュートスとセバスだが、奇妙な連帯感が生まれたような気がした。

「ああ、もうこんな時間か。2人とも付き合ってくれてありがとう」
「こちらこそ、同席させて頂きありがとうございました」
「気ニスルナ」

グラスの残りを煽ると、デミウルゴスは確かな足取りで席を下りる。やはり酔っているのか素面なのか測りかねる。2人もデミウルゴスに続きバーを出た。

__________

それぞれが自身の私室へと道を分かれ、デミウルゴスはかくしてfirst nameとの部屋へと戻ってきた。
寝具に横たわり目を閉じると、first nameの香りがフワリと鼻孔をくすぐる。彼女の香りは、今ではすっかり自分の香りと混ざった物になっていた。

「……かなりアルコールを入れてみたけれど、やはり勃起ちそうですね」

下着の下で徐々に大きくなる自身を感じ溜息を吐きながら、帰還したfirst nameと、どの様な熱い夜を過ごそうかと、また一つデミウルゴスは試案を巡らせた。

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