英国淑女と日本のスパイ

※年代むちゃくちゃ

「Manners」

やあ、俺の名前は神永。

「Maketh」

そしてこっちが、

「Man」

英国諜報員のfirst name!

「俺のxxxを突っ込んでやる!!!」
「語彙力が少ないことですね!」

彼女の華奢な手に握られているのは小型のピストル。迷いなく火を噴いたそれは寸分の狂い無く彼女に下卑た言葉を投げかけた男の額を貫いた。
一斉に酒場にいた連中が立ち上がり、彼女に向かっていく。
彼女がチンピラ共をちぎっては投げ、ちぎっては投げしていく様を、俺はただ阿保のように眺めているしかなかった。

「ふぅ…キッカリ10分。警察が来るまであと5分と言ったところかしら」
「………」
「あら、さっきこいつらに絡まれてたアジアンじゃない。困ったわねぇ…一旦眠ってもらおうかしら」
「は、おいおい待ってくれよ!」

彼女はKingsman製の時計を俺に向ける。
その針が一体睡眠針なのか即死の猛毒なのか俺には見当もつかない。
俺は慌ててその動線上から身を翻した。

「待ってくれ、俺は敵じゃないし君の職業も知ってる!頼むからその物騒なのを下してくれ」
「んん〜?あら、じゃあ、私の靴は?」

赤のヒールが目に飛び込む。
だが、この答えは……。

「黒い」
「正解!貴方がMr.神永ね。アーサーから話は聞いているわ」
「勘弁してくれよ…俺が待合相手なのくらい君なら知ってただろう…」
「そんなことないわよ。貴方の上司、全然情報を渡さないんですもの」

俺はこの英国で何度死にかけるのだろうか。
遠い目をしながら俺は苦笑いをする以外の選択肢は残されていなかった。

「Mr.神永!いけないわ、もうすぐ警察がくるってマーリンが言ってる!」
「おたくの高性能メガネか…逮捕だけは勘弁してくれよ!」

彼女が冒頭で生真面目そうに閉ざした扉の鍵を俺は開いた。
遠くで微かにサイレンの音が聞こえる。
目の前には運転手のいない黒のキャブ(タクシー)。俺の予感は当たるんだ。

「ねえ、貴方。カーチェイスは得意?」
「今この瞬間得意になったさ」

満足そうに頷くと、彼女は運転席に乗り込んだ。俺は助手席へ。
エンジンがかかると明らかに市販流通されたものとは違う重低音が鳴り響く。

「私はエージェント補佐のfirst name!よろしくね!」
「ああ、first nameのアジトに着いたら握手の一つでもさせてくれよな!」

勢いよく車は発信する。
サイレンは直ぐ背後だ。

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