キスをして覚める魔法




ふわり、

彼の髪が風に揺れる。


放課後の屋上に寝そべる無防備な寝顔


「亮ー。」


声をかけても返事はない。


ちょっと体を揺すってみる。


音沙汰無し。


「亮が来いって言ったんじゃんよー」


私の吐き出した言葉に返答はなかった。



「俺午後パス」


「え?パスって…ちょ、テスト前だよ?」


「じゃああとでエナちゃんに教えてもらう」


「あ、ちょっと!」


「終わったら屋上迎えきて〜エナちゃん」


そう言って亮は教室を去っていった。


そして授業が終わり、今に至るってわけだ。



ほんのり栗色の髪の毛が風にゆれる。
今日はなんだかセットがうまくできなかったって言ってたっけ。


一向に起きる気配のないこの無防備な寝顔

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