夏目くんとモブな私

モブ視点
短い


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「夏目貴志です、よろしくお願いします」
目の前には教壇に立つ男、転校生の夏目くんだ。
彼はどこか儚く女子は「イケメン」「カッコいい」等と盛り上がっていた。わかるイケメンは目の保養だよね。

席につけば彼の周りに集まる同級生達、それを横目に私は欠伸をした。そんな彼──夏目くんは、何処かおかしかった。急に何もないところで驚いたり、顔が真っ青になったり、後授業中に居眠りしてたかと思えば急に悲鳴をあげて目を覚ましたり、と不可解な点が多いが、きっと彼は疲れているんだろうな。親戚にたらい回しにされたと噂で聞いたので、彼気を遣いすぎるのかわからないが、中々休める場がないのかもしれない。



「なぁ、夏目!」

「ん?どうした西村」

「最近横山さんが夏目のことばっか見てるけどなんかあったのかよ?」

「横山…?誰だ?」
夏目くんも最近西村と北本とつるむことが増えてきた。西村に私の名前を出されてビクリと反応してしまったが、どうやら彼は私の名前を知らないようだ。