*手ブロネタ

「もっ、もも子ちゃんの手料理…!!?」
「え?あ、うん」

何気ない会話の中で爆弾が落とされた。あの、もも子ちゃんの手料理。私もいただいたことがあるけど本当に美味しいのだ…武術もできる、料理も、家事も……私は文字通り頭を抱えた。

「ちょっ!な、なんだよ…!?」
「いいんだ…私はどうせ脳筋だから…もも子ちゃんみたいな両立できない…うっ…大体私がしなくても優介くん完璧なもの作れるじゃん…っ」
「〜〜はぁ?ってなんで泣いてんだよ…!」

面倒くさがられると分かっていたがぼろりと瞳から落ちる雫を抑えられなかった。ギョッとした顔で優介くんがこちらを見てる。少しおろおろした後盛大にため息をついてばしんと私の肩に手を置いた。その勢いたるや、思わず涙が止まる。

「ゆ、ゆう…」
「いいか。確かに彼女に比べたら…まあ…けど俺は、その、名前の料理…嫌いじゃない、からさ…」
「へっ」

ばつが悪そうに決してこちらを向かずそう言う優介くんは少し顔が赤い気がして私もつられてかああっと熱が上がる。それに気付いた彼は遠慮なく私の顔を掴んだ。

「えっ優介くん優介くん!痛いよ??!」
「うるさい。そんな顔で見てくるお前が悪い」
「えぇ〜〜…」
「……お前明日弁当作らないとか言うなよ」

そんな事を知ったのだしばらくは申し訳ないけど自分でやってもらおうと思っていたのに既にお見通しだったらしい。つい肩が揺れたのだがそれを見逃す訳がなくてぐっと手に力が入った。

「い、う訳ないでしょ…って言うか顔!女の顔鷲掴みとかありえない」
「別にいいだろ…どうせ俺のところに来るんだから
「はっ?」

突然の爆弾発言に涙も心臓も止まるかと思った。悔しいので明日は食べるのが恥ずかしいようなお弁当にしてやると心に誓った。

***

「って事がこの前あってさ〜〜」
「おー…」
「いやあ本当俺の彼女最っ高にかわいい…」
「……惚気か」
「いつかのお返しだよ。あ、何なら俺のところにも食べに来てもいいよ?」
「いかねえ」


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