融解
貴方の後ろ姿は、大変暖かそうに見えました。
優しい淡い桃色に、ふわりと揺れる大きなシルエット。その羽がまるで隠すかのように包み込んでいる、冷たく黒く淀むもの。彼の思惑通りなのか、見抜くことはできないのです。
何も知らない私は、暖かそうに見えた彼の羽にそっと手を伸ばしました。
ぞわり。
背筋が凍るような悪寒が走りました。見た目とは裏腹に寒くて寒くて冷たくて冷たくて仕方のない感触。固まってしまった私に、貴方はフフフ、と妖艶な笑みを浮かべながら振り返りました。
私の伸ばした手を捕まえるようにして掴んだ貴方は、そのまま窓から空へ、飛び出しました。
「お嬢ちゃん、一度触れたら元には戻れないモノ、知ってるか?」
「…」
わけもわからず空を飛ぶ貴方にしがみついていた私は、首を振るしかできませんでした。あの時、満足気に笑っていた貴方。その問いに、今の私なら答えることができます。
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