「キスの日、って知ってますか?」
 「なんやそれは」
 「よくわからないけど、初めてキスシーンが映された日だとか」
 萌子は真島を覗き込む。
 「ねえ、目を閉じてくださいよ」
 「なんで俺がそないなこと――」
 「ね、お願いします」
 萌子の剣幕に仕方がないといった様子で真島は目を閉じる。そして感じる唇の感触。
 「はい。キス」
 真島はしてやったりの彼女が可愛く思えて仕方がない。でも、
 「それだけか?」
 ニヤリと笑った真島は萌子の項を掻き抱くと耳元で囁く。
 「キス、とはこういうことを言うんや」