こうなることは頭のどこかでわかっていたはずだった。

 もう夜の深く、クロードの部屋の寝台は体を縺れさせたままの私と彼を受け止めている。薄闇の中私はクロードの大きな目を見つめると、彼もまたその大きな目を私に寄越してみせた。欲が透けて見えた。私でも分かった。

「なあ、あんたはどうしたいわけ」

 首筋に汗が伝うと彼はそれを舐め取った。そのまま、彼は首筋に吸い付いて、熱を孕んだ手は着衣を乱した私の腿を湿度をもって触れている。表情は見えないけれど、彼の匂いがする、遠い異国を感じさせる香りは私を興奮させる。

「私、は…」

 彼の唇は首筋から顔に伝って耳を捉えると縁に舌を這わせて、そのまま食べられてしまう。
発せられる水音と刺激が私から思考を奪うようで、それまで抑えつけていた欲が頭をもたげる。

「俺はもう…我慢出来ないんだけど」

 腿を触れていた手はゆるりと脇腹のあたりを撫ぜた。もう、我慢できなかった。

 「もう、だめ…私を、」

 ――めちゃくちゃにしてほしい。

 声にならない声が聞こえたのか、「よくできました」彼はそう言うと悪戯っぽく笑った。全ては彼の掌の上なのだ。
これから訪れる波に期待を寄せながら目を閉じると唇に熱いものが触れた。