夢みたい。思わず私はそう呟いた。

 私とカスパルくんはお互いを想い合うそんな関係であるはずだった。「はず」とついてしまうのは、彼がいまいち私のことを異性として捉えているか疑問に感じていたからだ。
 鍛錬を積み強くなることを望む、そんな彼の姿勢が私は好きでもあるんだけれど、彼女としては異性「らしい」ことをしたいと感じていた。

 そんな彼が私を組み敷いている。

 きっかけは些細なことで、どこかの恋人同士が睦まじそうにしていたのを例にあげながら「私もカスパルくんとそういうことしてみたいかも」と冗談交じりで伝えてみたのだ。
 強くなる、それだけを見据える2つの眼は今この瞬間だけは熱っぽく私のことを見つめている。鍛錬で鍛えられたその腕は私の体を捉えて離さない。意外と筋肉あるんだな、そんなことをぼんやり考える。

 「こういうこと…ずっとなまえとしたいと思っていたんだが…」

 熱に浮かれたような顔で彼は言う。
 
 「なまえを傷つけたらどうしよう、って」

 私の体に手を滑らせてから、私に唇を寄せた。 拙いながらも熱を感じる、息まで喰われてしまいそうなキス。
 なんども、なんどもそうされて、唾液が顎をつたう頃、彼はわたしの思考、まで奪ってしまった。撫ぜる手が私の欲を刺激する。

「傷ついたり、しないよ。夢みたい。私そう思ってる」
「お前…そんなこと言われて、おまけにこんな…やばい姿みて、俺もう止まれねえよ」

 私もきっと彼と同じで熱に浮かれた顔をしているのだろう。きっとお互いの熱が混じり合って果てるまで止まらないだろう。この時間が終わることなくずっと続けばいいのに。そう思って私は彼に身も心も委ねる。