「うー…」
12月も近づき、めっきり寒なってきた。朝夕の冷え込みは特に厳しく、家と職場の往復が苦でしかない。
家には嫁と子どもが居て、今頃は2人でお風呂に入ったり、ご飯の支度をしたりしているはずだ。
思考を巡させていると、早く家族に会いたい気持ちが高まり、自宅に向かう足も自然と早まっていった。

「ただいまー。」

ヘトヘトになりながら、玄関の戸を開けると、腹部に衝撃。
「おかえり、パパ!」
にんまり。口角を上げた我が子が俺の腹に顔を埋めるように抱きついていた。
可愛い。一日の疲れが溶けて消えていく様な気がした。
自身に抱きつく我が子の頬を撫でると、子どもがピクリと体を震わせ「パパの手、つめたーい。」と言いながら笑った。笑った我が子があまりに可愛いので、「つめたい攻撃だー!」と両頬を包んで遊んでいると、居間の方から妻が顔を覗かせた。
玄関で戯れる俺と子どもを見て、少し呆れた様な顔をしながらも、「おかえりなさい。」と声をかけてくれる。
「ただいま。」と応答しながら手招きをすれば、小首を傾げながら玄関に来てくれる嫁、可愛い。
俺の嫁と子どもがちょー可愛い。幸せ。

片手で我が子を抱きしめて、もう片方の手を広げて見せれば、妻はおずおずとそこに収まった。
はあ、幸せ。