先生の長い指が、綺音の白いふくらはぎを撫でる。ん、と声が漏れて、綺音は恥ずかしさに顔を隠した。

「綺麗だ」

昔、なんともなしに褒められたことを思い出す。

つつ、と太腿に上がる指に、どくん、と期待、そして不安で鼓動が跳ねた。




数分前。ソファで眠ってしまった綺音が寝言か夢うつつで彼の名前を呼んだ。

「一人」

それはあまりにもはっきりとした甘い響きで、彼を誘惑するのには充分だった。

だらしなくめくり上がったスカートに、はだけた制服のブラウス。
また、こいつは。不満をぶつけるつもりで少しだけイタズラを、と首筋をするりと撫でた。

綺音の肌はきめ細かく、まるで吸い付いてくるかのようで、指を離せなくなった。まるで、魔法だ。

つー、と鎖骨、胸の谷間をなぞる。
くすぐったそうに、綺音は身じろいだ。起きてくれるか、と期待したが、彼女はまたすやすやと安らかな寝息を立て始める。

やめられないな。
ちらりと覗くブラジャーの際を、なぞる。ぅん、と悩ましげに眉間に皺を寄せる彼女。心臓を掴まれたような、感覚。

ばれなければ、とぷつりぷつりとボタンを外す。これはセクハラだ、と自覚しながら。

大体、第二ボタンまで広げているのがおかしい。小顔に見えるとか何とか言っていたが、さらに小さくしてどうする。と思ったものだ。

わりと大きい胸を見て、子どもと馬鹿にしすぎていたと後悔した。
欲情、してしまった。

ブラジャーをずらすと、ぷるんと可愛らしい乳房が姿を現した。既に自身を主張する頂に誘われ、それを遠慮がちに摘まんでみる。

ふ、と声が漏れて、身体が揺れた。

瞬間、冷静が戻ってくる。
いかん、と下着とブラウスを元に戻し、ばさりとコートを被せた。

目の毒だ、まったく。


しばらくしても、綺音は起きなかった。
もう帰らなければ、と起こそうと、コートを剥がしたら、寝相のせいか、スカートが完全にめくれ上がっていた。

しかも、今日に限ってスパッツを履いていないとくる。

ああ、と呻いて、彼は綺音を呼んだ。
スカートを下ろして、下着を隠す。

また短くしたのか?

うまく太腿を隠しきれず、そうこうしているうちに、また肌に誘惑される。

ごくり、と唾を呑む。

ふくらはぎから、丁寧に、太腿へ手を這わす。弾力は程良く、足だけを、いつまでも触っていられそうだった。



夢うつつで、綺音は顔を隠して、熱くなる身体を恥じた。何度も何度も這う指に、間違いなくその気になっていく自分が分かった。

あ、あ、と声を漏らすと、彼は手を止めてしまう。やめないで、と名前を呼ぶと、いつものように、その指は秘された奥へ進み始める……。


達した瞬間、はっと綺音は目を開けた。
天井、そしてソファを見て、こんなところで、あんな淫夢を見るなんて…、と心底恥ずかしく、起き上がった。

「先生……?」

夢がばれてしまってはいないかと不安で彼を呼ぶと、いつもの机の方から返事がかえってきた。

「起きたか、さあ、帰るぞ」

当たり前のように、さくっと立ち上がる彼を見て、ほっと綺音は小さく息をついた。
そして、合田のほうも、そんな彼女の様子を見て息を吐く。

「せんせー、あたし変な寝言言ってた?」

帰り支度を済ませてドアへ向かう彼の背中を追いかける。
彼は、先生、先生とうわ言のように呟き続ける彼女の寝言を思い起こし、

「……いや、何も」

と抑揚なく答えたのだった。