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「あ、」
「、」


ぱたり、と少しだけ切れた指先からぱたりと血が落ちて、それは真っ白な紙に青い染みを作った。
隣でホチキス止めの作業をしていた物間くんはそれを見て少し驚いた顔をしたあと、「はい」とハンカチを差し出してくれた。


「ありがとう」
「それ、君の個性?」
「うん。変わってるでしょ、血が青いなんて」


血はすぐに止まった。普段からハンカチを持ち歩いている物間くんに、どことなく育ちの良さを感じる。ハンカチを返して封筒にプリントを入れる作業に戻りながら私は会話を続けた。


「本当は、私もヒーローになりたかったんだけどね。個性がこんなだから、無理だなって。だからここ卒業したら外部の大学に進む予定なんだ」
「もう先のこと決めてるの?」
「うん。食品系に進むつもり。ていうか、ごめんね物間くん。ヒーロー科って最近忙しいんでしょ?これくらいのことなら私がひとりでできたし、次回は私だけでやるよ」
「いや、僕も同じ係なんだしちゃんとやるよ。ハイ、これで最後?」


とんとん、と纏まった冊子を整えてぱちんとホッチキスを止める。彼から受け取ったそれを茶封筒の中に入れて、無事に作業は終了した。


「いやーなんとか終わったね!結構量あったけど、なんとかなってよかった」
「先生たちも

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