クラスに季節外れの転入生がやって来たのは、六月のことだった。
「江 桑名です。はじめまして」
両方とも苗字のような変わった名前だと思った。江くんというその生徒は長い前髪でほとんど瞳が見えなくて、背が随分高かった。何とも不思議な外見をしているから、私をはじめとしてクラスの皆は少し遠巻きに彼を見ていたのだが、暫くして彼が優しく人好きのする性格であることが分かってからは、話しかけるようになっていた。
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