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三奈ちゃんが私の部屋を訪ねてきて、ドアを開けると女子が勢ぞろいしていた。

「あれ?皆してどうしたの?」
「へへっ!柚華ちゃんお部屋終わった?」
「うん、皆も終わったみたいだね」
「まぁね、それでさ、さっきそこで皆の部屋見てみたいよねって話になってさ」

成程、三奈ちゃんと響香ちゃんの言葉で私の部屋を訪ねてきた意味がわかった。

「私の部屋を見たいんだよね?」
「うん、そうなんだけど、どうせなら男子の部屋も見てみたいなーって思っててん」
「あー、いいねそれ。楽しそう」

私も参加しようと思って、廊下に出ると梅雨ちゃんがいない事に気づきどうしたのかと聞くとお茶子ちゃんが、悲しそうな顔で体調不良だから部屋にいると教えてくれた。

「大丈夫かな」
「う、ん」

歯切れの悪い返事をするお茶子ちゃんを横目にエレベーターに乗り共同スペースに行くと、男子が集まっていて、何やら楽しそうに話をしていた。

「男子部屋出来たー?」
「うん、今くつろぎ中」
「あのね、今話してて!提案なんだけど!お部屋披露大会しませんか?!」

三奈ちゃんの言葉を聞いた緑谷くんと常闇くんの動きが速かったが、それよりも早かったのは女の子達だ。2階にある緑谷くんの部屋に駆け込み、緑谷くんの制止の声を振り切って中に突入した。私もつられて中に入ると、オールマイト先生のグッツが沢山あり、お茶子ちゃんがオタク部屋と評価した。

「憧れなんで……恥ずかしい……」

さて次は常闇くんの部屋だと緑谷くんの部屋を出てると、常闇くんは自分の部屋の前に立っていた。

「フン、下らん」

部屋の中に入らせないように立っていた常闇くんだったが、三奈ちゃんと透ちゃんが無理矢理押し退けて中に入った。
女の子って強いなー。なんて思いながら顔を覗かせると1面黒で統一されていてなんとも暗い部屋だった。

「真っ暗だ…」
「男子ってこういうの好きなんね」
「出ていけ!!」

常闇くんの悲痛の叫びに部屋を出て青山くんの部屋に入ると常闇くんとは対照的に目がチカチカしてしまう程の眩さがある、目が休まらない明るい部屋だった。

「まぶしい!!」
「ノンノンまぶしいじゃなくて、ま、ば、ゆ、い!」

透ちゃんや三奈ちゃんは思っていた通り、想定の範囲を出ないと言う手厳しい評価をくだし部屋から出ていく。

「正直どっちの部屋も嫌だったなー」
「それな」
「あと2階の人は…」

ぼそっと漏れた声に響香ちゃんが納得してくれ、お茶子ちゃんが次の部屋を探していると、峰田くんが扉越しに私達を見て手招きをしていた為、それを無視して上の階に行くことになった。

3階で一番最初に入った尾白くんの部屋は普通以外言いようのない部屋で、正直一番落ち着く部屋だと思う。確かに意外性とかは何もないのだけど。

次に入った飯田くんの部屋は難しそうな本が本棚にずらりと並んでいて、飯田くんらしいななんて眺めていると、お茶子ちゃんが何かを見つけたらしく吹き出していた。

「メガネクソある!!」
「何が可笑しい!!激しい訓練での破損を想定して…」

飯田くんは独特の動きでメガネが沢山ある理由を話していたが、そんなのお構いなしにお茶子ちゃんと三奈ちゃんがメガネを拝借してかけていた。

次に入った上鳴くんの部屋はチャラいと一刀両断され、口田くんの部屋ではペットの兎がいてそれに癒された。

「ペットはずりぃよ口田。あざといわあ」

ずるいとは?

廊下に出て次は誰の部屋だと盛り上がっていると、男子から釈然としないと苦情が出た。そして峰田くんが女子を指さしながら珍しく正論らしきものを言ったのだった。

「男子だけ言われっ放しってのは変だよなぁ?大会っつったよな?なら当然!女子の部屋を見て決めるべきじゃねえのか?誰がクラス一のインテリアセンスか全員で決めるべきなんじゃねのかあ!!?」

峰田くんのその発言で1年A組、第1回部屋王決定戦が始まった。

正直誰でもいいしどうでもいいんだけど、盛り上がっている手前そんな事も言えず、渇いた笑いをするしかない。

「柚華さん」

そんな中焦凍くんに話しかけられて振り返ると、気まずそうに私を見ていた。多分あの事、神野区の事について話すタイミングを失ってしまったんだろう。

「後で話したいな。時間ある?」
「今じゃなくていいのか?」
「うん、皆楽しそうだから水を差したくない」

4階の部屋に移動する事になり私と焦凍くんは肩を並べて歩いたが、ぎくしゃくとしていてこれでは周りに気を使わせてしまうと思い、歩くスピードを速めて百ちゃんに合流する。

後ろで焦凍くんが一瞬私に手を伸ばしていた事も、悲しそうな顔をした事も私は知らない。

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