「何で私たちは博物館見学なのさ……」
「学年主任の趣味だってさ」

社会科見学で何故か私達のクラスは学年主任の決定で博物館見学と決まっていた。
博物館見学が不満なのではない。個人的な趣味で付き合わされるのが私には納得がいってなかった。
もっと他のクラスみたいに水族館やら動物園やら、そういうキャーキャー楽しめる場所が良かったとブスくれる私にクラスメイトは苦笑いしながらも答えてくれる。

「今日はテンション低いねー。ほら、なんか刀があるって」
「いいよ私は。ここでだらけてる」

ソファに寄りかかるように座った私にクラスメイトは「ちょっと見てくるね」と行ってしまった。それを手をひらひらと振って見送る。見てないだろうけれども。

だらりと手を降ろすとぽすりとソファではない何かに当たった。
手元を見ると白色の布が広がっていて、その布を辿っていくと長髪のお兄さんがにこにこしながら座っていた。

「あ、すみません」

咄嗟に姿勢を正して頭を下げる。
何も言われないことに不思議に思いながらお兄さんを見上げると、何故か驚いた表情で私を見ていた。

「……君」
「はい」
「見えるのかい?僕が」
「はい?」

首を傾げると目の前のお兄さんも首を傾げた。サラリと肩を滑るお兄さんの髪の毛に目が奪われる。
くせっ毛の私にと違って絹のように流れるサラサラな髪の毛がとても羨ましい。

「えっと……?」
「ああ、いや……そうだ、君は何でここに?」
「社会科見学ですけど……」

お前こそ何でここにいるんだと思ったのが伝わったのか、お兄さんは微笑んだ。

「ふふ……君はとてもわかりやすい」
「はぁ?」
「僕はここに住んでるんだよ」
「……館長さん?」

んふっ!!と身体を震わせながら笑い出したお兄さんにだんだん危ない人なのではと思い始める。
確かに思わず館長かと問いかけてしまったが、館長でも博物館には住んだりしない。私もそれくらいは知っている。

「いやぁ、おかしかった。君の頭の事じゃないよ?」
「初対面のわりにお兄さんはすごく失礼ですね」

冗談だよ、と笑うお兄さんにやっぱり不審者なのではと思い始める。

「あの、結局お兄さんは……」
「ついておいで」

立ち上がったお兄さんが私を見下ろす。
学生服のように見えた服はよくよく見ると不思議な装飾が所々に付いていて、白色の布はマントのように肩からかかっている。
お兄さんはにこやかに手袋に覆われた手を差し出してきて


「君に、いいモノを見せてあげよう」


明らかに怪しい言葉。
怪しいとわかっているのに……


私はその手を取ってしまった。



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