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「出るんだって」
クラスメイトが言い出した言葉に一瞬何のことかわからず箸を止める。
「何が?」
「幽霊」
衣替えを終えたばかり季節。つまり怪談の話をするのにもまだ早いのにクラスメイトはそう言った。
しかし何の話をするにしても楽しそうに話すクラスメイトは今日は珍しく簡潔にそう一言言っただけだった。
「どうしたの?いつもならもっと楽しそうに幽霊の話してるのに」
「いや、幽霊の話はしたことないよ?」
「『キューピッドさん』は?」
「あれは、ほら……おまじないだから……」
それにしてはいつもより元気のなさそうな話の切り出し方であった。クラスメイトはため息をついた。
「ここら辺に幽霊が出るんだって。真夜中に」
「真夜中ってあんまり私達には関係のなさそうな時間帯だけど」
「みた人が居るんだってさ」
「ふーん。真夜中ねぇ……」
一般的な幽霊は夜中に出るイメージがある。
しかし、今まで私達が遭遇しているのは割と昼間だったからかこちらの方が新鮮に感じる。
「なんでもその幽霊、女子高生くらいで白い布を纏っているらしいよ。ちょうど私達くらいの女子高生。それで刀を持ってたんだって」
「それなら夜中にコスプレして出歩いているだけかもしれないよ。撮影するなら人目につかないところでやりたいとか」
私が答えると、「それがさー」とクラスメイトは続けた。
「飛ぶんだって」
「女子高生が?」
「正確には女子高生くらいの少女の幽霊」
「へー」
まあそんなもんよね、とクラスメイト。
「代理は気にならないのかい?」
青江が珍しく話しかけてくる。
どっちかと言えば気にはなるが、関わりたいか関わりたくないかで言えば後者だ。
話を聞くだけで済むならそれで充分である。
「その幽霊の少女、楽しそうに軽快に歩いてるらしいよ」
「それ本当に幽霊?」
「幽霊だってば」
話を聞く限りは存外お茶目な幽霊なのだろうか。
それにしても……
「それで何で今日はそんなにテンションが低いのさ」
「いいなぁと思ってた先輩、彼女居るんだって」
「それは……ご愁傷様です」